CDOが考える顧客提供価値

 昨年度に引く続き2年目となる、石川県主催の「CDO育成研修」を石川県情報化支援協会が委託して実施しています。7月11日から始めて、11月7日に最終日となる計10日間のロングラン研修です。

 CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)は、経営戦略にもとづきデジタル化を推進し、ビジネスモデルを変革して顧客価値を創造、提供するDXの推進者です。

 本研修はITCになるための「ケース研修」教材をもとに、CDOに必要とされる知識やフレームワークを追加して構成しています。そのうちの一つが、BMC(ビジネスモデルキャンパス)です。

BMCによるビジネスモデル作成

 最終日には、受講生がBMCを活用して自社のあるべき(To-Be)ビジネスモデルをプレゼンします。BMCは、ビジネスの複雑な構造を9つの要素に分割し、ビジネスモデルの可視化に役立つツールです。

 初日に作成した現状(As-Is)のビジネスモデルの9つの要素の中で、どこにどんな問題があるのか、そしてその問題を解消するための課題は何かを分析します。さらに、課題を解決することでビジネスモデルがどのように変革され、その結果、新たにどのような価値を顧客に提供できるようになるのか。

 このような視点で受講生がプレゼンテーションするのを期待しているところです

ソフトウエアファースト

 かなり分厚い本ですが、『ソフトウエアファースト 第2版』(及川卓也著)を読み終えました。

 ソフトウエアの変革力の大きさを理解し、ソフトウエアを「手の内化」(ブラックボックス化せずに内製化する)することで企業を変革し、顧客価値を生み出すプロダクトマネジメントについて書かれています。

 この本では、価値あるプロダクトを生み出す役割のプロダクトマネージャーは、CTO(チーフ・テクニカルル・オフィサー)やCDO職が担当するとし、CDOはIPA(情報処理振興機構)のDSS(デジタルスキル標準)ではビジネスアーキテクトに相当するとも書かれています。

 CDOを目指す方やDX推進の支援者にとって非常に参考になるお薦めの良書です。

VPCと狩野モデル

 BMCでは顧客提供価値を考える際、VPC(バリュー・プロポジション・キャンパス)で顧客の利得、解決したい課題、悩みを分析します。

 本書には、ソフトウエアを活用して顧客価値のあるプロダクトを創るとき、プロダクトのどのような品質が顧客にとっての重要性があるかを理解することが必要だとして「狩野モデル」が紹介されています。CDOにとって、この狩野モデルは有用なフレームワークとなります。

(出典:『ソフトウエアファースト(及川卓也著』より)

最終日の受講生のBMCプレゼンの後に、本書の紹介と狩野モデルについてお話しする予定です。