システム開発におけるITコーディネータの役割

先日、某所で対応したIT相談の案件。

「契約書で損害賠償の上限設定がされているのですが、賠償額は適正なのでしょうか?」というものです。

一般的には、システム開発金額を上限として設定されるようですが、当相談案件の場合、システム開発の初期費用(カスタマイズ費用)ではなく、開発によって提供されるサービス商品の月額使用料に設定され、金額は3ヵ月程度のため、金額が小さいのではと。

情報システム・モデル取引・契約書

経産省の情報システム・モデル取引・契約書<第1版>の53条(損害賠償)の2項では,次のように書かれています。

「前項の損害賠償の累計総額は、債務不履行、法律上の瑕疵担保責任、不当利得、不法行為その他請求原因の如何にかかわらず、帰責事由の原因となった個別契約に定める○○○の金額を限度とする」。

通常、○○○の金額はシステム開発の委託金額が多いようです。

しかし、システム開発の契約内容は、開発側とユーザー側との相互依存性や力関係に左右されます。当相談者と開発側との関係は、まさにこれに該当するようで、一般的には、という話ししか出来ません。

(出典:IPA 情報システム・モデル取引・契約書<第2版>)

 

ITコーディネータ(ITC)が関与しているIT案件は、裁判沙汰にならない

当相談案件は、契約段階の話しで裁判沙汰になってはいませんが、

最近はデジタル化が企業に普及し、ITに関わる裁判が増えているそうです。

裁判所のIT専門員・調停委員をしているITCから聞いた話しです。

ITに関わる裁判が増えている中で、その方が裁判専門員・調停委員として裁判沙汰として関わった案件の内、ITCが関与している案件は、一つもなかったようです。ITコーディネータがシステム開発会社とユーザーとの間に入り支援することで、お互い合意の契約書が取り交わされ、契約内容を正しく履行し、瑕疵のない成果物が完成するからだと考えられます。

このことは、ITCの大きな役割の一つになっています。デジタル化・DXの時代、是非、ITCを活用ください。