リスキリングは他者との交流の中で・・・

コロナ禍で自粛とは、全然関係ないですが、しばらく間が空いたブログの再開です。

今いろいろな組織で、環境変化に対応できる組織体質を構築するため、人材への投資が経営課題となっています。ここ数年来DXの必要性が叫ばれていることも、人材投資の背中を押しているようです。人材投資の一丁目一番地は「リスキリング」。リスキリングとは、業務上の技術や専門スキルを新しく獲得し、新しい業務や職業に対応できるようになることです。大人の学び直しと言えるかもしれません。

 

リスキリングの現状

『リスキリング」とは経営課題』~日本企業の学びとキャリア考~(小林祐児 著)はリスキリングを考える上で、非常に示唆に富んだ書籍です。日本人、日本企業のリスキリングの現状をこのように書いています。「DX(デジタル・トランスフォーメーション)とあわせて普及しつつあるこの言葉は、生涯学習やリカレント教育などと同じく、広く大人の学び直しと捉えられる。しかし、残念ながら日本の社会人のほとんどは、学びへの意欲が極めて低い。統計データからも、大人が世界一学ばない国であることが明白だ。これは決して個人のやる気不足のせいではなく、日本企業の働き方やキャリアの仕組みに起因する」と。

(出典:パーソル総合研究所「グルーバル就業実態・成長意識調査(2022年)」)

巻き込む学び(ソーシャル・ラーニング)

このような現状を踏まえて著者は、リスキリングを支える「三つの学び」を言説しています。捨てる学び(アンラーニング)、巻き込む学び(ソーシャル・ラーニング)、橋渡す学び(ラーニング・ブリッジング)です。この中で、人々の学びは他者との相互作用の中で社会的かつ共創的に営まれるという、「巻き込む学び(ソーシャル・ラーニング)」は大変興味深いものです。他者との関りがリスキリングにおいて果たす機能は、「真似し合い」「教え合い」「創り合い」「高め合い」の四つがあるとしています。ひらたく言えば、人は人との交流の中で多くのことを学ぶということです。

NPSと自己革新

私が副会長として在籍しているITコーディネータ協会では、ITコーディネータ(以下、ITC)を取り巻く関係者のITCに対するNPS(顧客推奨度)を高めることを大きなミッションとしています。ITC制度が出来てから現在まで、ITCは自己革新を行い、中小企業者への支援力を高めることを目指してきました。ITC資格の更新には、年間10ポイントの実践力ポイントといわれている自己学習を課していることがITCの自己革新の仕組みの一つになっています。

 

ITCとしてどうリスキリングするのか

先日、企業に在籍しているITCとの座談会を開催しました。参加した企業内ITCの多くの方が抱えている課題は、「届出組織」と呼ばれているITCの組織に入会し、自社の外にいるITCとの繋がりを作りたい、というものでした。ITCの資格を活かした活動するには、自社の業務や自社内研修から学ぶことには限界があり、他者から学ぶたい。他者との交流とおして学びたい。他人の経験を自分の経験知に組み入れたい。そんな思いが伝わる課題です。中小企業の支援や社会的課題解決に貢献するというITCの役割を果たすには、ITCのリスキリングが必須です。どうにょうにしたらよいのだろうか。人は人との交流の中で「真似し合い」、「教え合い」、「創り合い」、「高め合い」によって学び、リスキリングできる。そのためには、多様な価値観を持つITC仲間と交流し、リスキリングすることが大事です。