DXの実現は、経営そのもの

先日、経済産業省からDX実現への正しいステップを、事例も交えて、わかりやすく解説した

「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」が公表されました。

DXは、IT・デジタル技術を手段として、

顧客視点で新たな価値を創出していくために、ビジネスモデルや企業文化の変革に取組むことです。

今、DXの名のもとに、デジタル化の推進が広まっています。

DX実現への正しいステップを認識して、デジタル化を推進していく必要があります。

しかし、DX実現への正しいステップは、あまり伝わっていません。

当実践の手引きは、DX推進に取組むにあたって、次のような課題を指摘しています。

  • どんな価値を創出するかではなく、「AI を使って何かできないか」といった発想になりがち
  • 将来に対する危機感が共有されておらず、変革に対する関係者の理解が得られない
  • 号令はかかるが、DX を実現するための経営としての仕組みの構築が伴っていない

また、DX実現のためには、下記のようなプロセスが必要であり、求められるとしています。

  • 経営者が自社の理念やパーパスを明確にした上で、実現したい経営ビジョン(5年後・10年後にどんな会社になっていたいか)をしっかりと描く。
  • ビジョンの実現に向けて関係者を巻き込みながら、現在の状況と目指すべき状況の差を埋めるために解決すべき課題を整理する。
  • デジタル技術を活用しながらこれらの課題解決を通じて、ビジネスモデルや組織・企業文化等の変革に戦略的に取り組んでいく。

また「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」の作成に参画したITコーディネータ協会澁谷会長は、

日経XTECHの中で、DXと経営の関係について、このように書いています。

経営者は今や、ITやデジタル技術に対して「重要だとは思うが、よく分からないから任せる」

というわけにはいかないのだ。

会社の実現したい未来=ビジョンを描き、そこから現実を見つめ直して経営課題を洗い直し、

デジタル技術を生かして経営課題を解決し、ビジョン実現にまい進する。

DXの道は経営そのものであって、「よく分からないから任せたくなる」ような

難しい技術の話ではないのだ。

一方で、DX実現のためのデジタル化のステップ(階段)があり、

中小企業の中には、上記図の「ステージ1」の段階にある事業者も多いのが現実です。

ステージ1からステージ2、3とデジタル化を進め、DXを実現するためには、

経営者は最初の段階(ステージ1)から「よく分からないから任せる」ではなく、

主体的に関与することが大事です。

最終的な段階であるDXの実現は、

顧客を定め新しい顧客価値(商品やサービス)を創り出す経営そのものですから。