予測不能な変化の時代、幸せの姿とは

今、新型コロナウイルス感染で多くの人が苦しみ、行動が制限されています。このような予測不能な変化に立ち向かい、いかに生きるべきか、企業の組織はどうあるべきか、あらたな幸せの姿とは。

ウェアラブルデバイスやスマホからの膨大なビックデータを解析し、得られた知見をもとに書かれた書籍が手元にあります。『予測不能の時代』。著者は矢野和男氏(日立製作所フェロー、株式会社ハピネスプラネット代表取締役)です。昨年11月、東京で開催された「ITC Conference 2021」の講演で登壇した矢野さんの話しを聴き、感動しました。さっそく本書を丸善で購入。内容の一部を紹介します。

幸せは自分一人では生み出せない

人間が追い求める最高の目標は「幸せ」であることは、誰も否定しないと思います。

著者は幸せについて、こう言っています。「幸せは自分一人では生み出せない。あなたの幸せは、自分が関わる周囲の人たちから与えられるものだ」と。会話の相手から元気をもらうことで幸せになるということです。私たちは社会生活をする上で、企業や地域、その他コミュニティなど、組織の中においていろいろな人と関わり、生きています。

私が長年IT化支援で関わっている石川県の会宝産業さんは会宝人十か条で、

「すべての人に、笑顔を贈ろう」「自分は他の誰かの“宝”であると自覚しよう」「利他の心を持った真のプロになろう」と言っています。自分さえよければよい、では幸せになれないということです。

 

人の幸せと属する組織との関係

では、幸せになるためには、どのような組織に属している必要があるのだろうか。

人を幸せにする集団の一員になることが必要ということです。

人を幸せにする組織とは、どのような組織でなければならないのか。

幸せな集団とは、周囲を元気にする人たちが多くいる組織であると。

以下、幸せな組織の特徴と不幸せな組織の特徴の対比が書かれた箇所を引用します。

(出典:『予測不能の時代』矢野和男著)

会話中に身体が同調せず動きも少ない、という特徴については、私のことに翻って思うことがあります。

家内との会話でどれだけ会話のキャッチボールが活発であるだろうか。

返事やうなずきもおろそかになっていないだろうか。身につまされることです。

 

予測不能な時代のトランスフォーメーション

DXは、デジタルの力でこれまでの業務のやり方、人の意識、組織の在り方を変革(トランスフォーム)し、

顧客価値を創出して競争力を高めることです。

本書から学べることは、デジタルの力だけでは、人の幸せにつながるトランスフォーメーションが出来ないのではないか、ということです。

予測不能な変化に立ち向かい、組織が成長し、人も幸せを享受するためには、

BSC(バランススコアカード)の最も下に位置づけされている「学習と成長」の視点に、

生身の人と人とのつながり方、会話の仕方、人の意識変革、組織の再編とコミュンケーションを要素として追加する必要を感じています。