DX時代に必要とされる外部人材は?

DXとは、

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。

 

ITコーディネータ(以下、ITC)資格を活かせる時代

DXと似た言葉にIT経営というのがあります。

IT経営を推進するために、どの様に活動するかについての実行基準(進め方)と判断基準(基本原則)を示したものがIT経営推進プロセスガイドライン(以下、PGL)です。

このPGLでは、「IT経営とは、経営環境の変化を洞察し、戦略に基づいたITの利活用による 経営変革により、企業の健全で持続的な成長を導く経営手法」と定義しています。

 

ITCは6日間の研修において、PGLをもとに、

経営者の変革認識から経営戦略企画、IT戦略企画、ITサービス利活用、持続的成長認識までを一貫した体系で学びます。そして、企業を支援するときは、PGLを支援の拠りとしています。

 

DXの肝はX(トランスフォーメーション)にあります。

壁を超えるとか、これまでのやり方を変えるとかの意味です。

IT経営は、ITの利活用による 経営変革です。まさに企業のDX化とIT経営の定義は、同じということです。

IT経営を支援するミッションを持ったITCは、

企業のDX化が求められる今、必要とされる外部人材だと言えます。

企業のDX化の現状は

日本経済新聞(2021年5月5日)のそこが知りたい DX・多様性 なぜ遅れ?のインタービューに応えて、

岩谷直幸マッキンゼー日本代表はこう書いています。

「社会的な要請から社内にDXの専門組織をつくったものの、経営戦略にまで落とし込んでいる企業は少ない。経営層の意識の低さに加え、経営課題とデジタル技術を結び付けて説明できる『ビジネストランスレーター』と呼ばれる人材が足りない。だから経営層が実利を感じられず、ノルマ意識が強くなる」

マッキンゼーの対象とする顧客企業は大企業でしょうから、大企業のDX化の現状を言い表しているようです。

 

2021年版中小企業白書・小規模企業白書は、事業継続力と競争力を高めるデジタル化の項では、以下のように分析しています。

  • デジタル化推進に向けては、アナログ的な文化や価値観の定着といった問題(白書では課題*1)、明確な目的や目標が定まっていないといった事業方針上の問題(白書では課題)がある。
  • 中小企業のデジタル化推進に向けては、デジタル化に積極的に取り組む組織文化の醸成や業務プロセスの見直しなど、企業自身の組織改革が必要。その際には、経営者が積極的に関与することによって、企業全体のデジタル化に向けた方針を示し、全社的に推進することでより大きな成果を生みだすことができる可能性がある。

*1:白書で課題と言っているのは、望ましくない事象、すなわち問題であって課題ではありません。

  白書を作成する当事者にも、問題と課題との識別がないこと、これこそが問題でもあります。

 

いしかわデジタル化促進経営アドバイザー派遣

DX化もIT経営も、変革がキーワードです。この変革を阻んでいるのは何なのか。

経営層の意識、経営課題とデジタル技術の乖離、文化や価値観、明確な目的や目標が定まっていないことなど、様々な原因があります。

 

今年度の石川県の事業、「いしかわデジタル化促進経営アドバイザー派遣」がスタートしました。

私も含めて10名ほど、石川県のITCがアドバイザーになっています。

この事業では3回から5回、企業を支援します。1回目の支援では、デジタル化の目標を確認しながら、企業の経営課題を明確にすることです。

 

いろいろ困っている問題点、やりたいことは見える化できますが、やるべき課題、それも本質的な課題を抽出することは難しい作業です。目標を実現する本質的な課題を置き去りにして、企業の変革、トランスフォーメーション(壁を乗り越える)は不可能です。

経営とITに強い専門家、ITCの腕の見せ所です。