アジャイルな思考(アジャイルマインド)とDXとの関係性

日経記事とA氏のコメント

先日、今日の日経記事よりというタイトルでFacebookに投稿したところ、

私の知人のAさんからいつもの鋭いコメントがありました。

【私の投稿】

「接種管理 新興ITが受注」

新型コロナワクチン接種の記録を確認するシステムの開発業者が医療スタートアップのミラボ(東京・千代田区)に19日、決まった。クラウドを使い、マイナンバーカードと連携しながら自治体が使える全国的なシステムを早期に構築する。65歳以上の高齢者などへの接種開始が4月に迫る中、新興企業のスピードを活用する。・・・NECや富士通など大手企業も受注を狙ったが、従来型の開発体制を引きずり政府が求める「2週間」という短納期に対応できなかったもよう。

短期間での開発を実現するため、一般競争入札ではなく随意契約にしたとか、ミラボはこれまで200以上の自治体への納入実績があることなどを考慮しても、行政のデジタル化の方向性が大きく変わったと実感できます。顧客の要望に応えたサービスの提供が出来ない、自社ブランドに頼り変革に後れをとるITベンダーは負け組になるということですね。

 

【Aさんのコメント】

結果としてこの会社に落札されるのはOKだが、2週間でやらせるということ自体が、COCOAと同様な仕様不足や、体制不備を内包している可能性大。こんなことは昨年から(リスクマネジメントの観点も含めて)詰めていれば、それなりの仕様ができているはず。頭の中が、ウォーターフォールで固まっている連中には、詰めている途中からでもどんどん仕様が変わるものを、状況を想定しながら固めていくような頭が俊敏ですばやいアジャイルな発想(アジャイル手法で開発しろなんて言ってません)ができないのだ。特に大手ベンダーの連中には!!

 

的確で鋭いコメント、さすがAさんです。

Aさんのコメントにある「アジャイルな発想」についてDXとの関係性を、

国のレポートとIPAの資料を引用しながら、書いてみたいと思います。

政府のDXレポート

DXを下記のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

また、2.3 コロナ禍で起きたこととDXの本質では、

  • テレワークをはじめ社内のITインフラや就業規則等を迅速に変更してコロナ禍の環境変化に対応できた企業と、できなかった企業の差=押印、客先常駐、対面販売など、これまでは疑問を持たなかった企業文化の変革に踏み込むことができたかが、その分かれ目
  • 事業環境の変化に迅速に適応すること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することの重要性が明らかに

2.4 企業の目指すべき方向性として、

  • 変化に迅速に適応し続けること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することがDXの本質であり、企業の目指すべき方向性
  • コロナ禍によって人々の固定観念が変化した今こそ企業文化を変革する機会。ビジネスにおける価値創出の中心は急速にデジタルに移行しており、今すぐ企業文化を変革しビジネスを変革できない企業は、デジタル競争の敗者に

そして3.4 DX推進に向けた中長期的対応では、

変化対応力の高いITシステム構築を構築するためにとして、

  • ソフトウェア開発における従来のような受発注には、本質的な困難さがあると考えられる。迅速に仮説・検証を繰り返す必要があるSoEの領域における大規模ソフトウェア開発には、これまでの受発注形態では対応が困難な可能性が高い
  • 競争領域を担うITシステムの構築においては、仮説・検証を俊敏に実施するため、アジャイルな開発体制を社内に構築し、市場の変化をとらえながら小規模な開発を繰り返すべき

としている。

「アジャイルソフトウェア開発宣言(2001年)」

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は2020年2月に、

「アジャイルソフトウェア開発宣言の読みとき方」を公表しています。

その中にある、アジャイルソフトウェア開発宣言に関する2枚のシート、アジャイル宣言の背後にある原則とアジャイルソフトウェア開発宣言を紹介します。

まとめ

小規模事業者や中小企業にとっては、コロナ禍の今はピンチです。しかしピンチはチャンス。

中小企業のデジタル化を支援する国のデジタル化応援隊事業も動きだしました。

小回りが利く特性を活かし、全体最適のDX化を安価なクラウドサービスで実現できるチャンスです。

DX化によってこれまでのビジネスモデルの変換を図るための「中小企業等事業再構築促進事業」には2020年度の第3次補正予算が組まれています。

小規模事業者、中小企業、大企業そして行政。DX化の規模は異なっても、

まさにアジャイルな発想(思考)なくして、真のDX化はなしえない!