経営力向上の視点で・・・

今、ものづくり補助金の第二次公募が始まっている。公募要領から審査項目である技術面4項目、事業化面4項目を抜き出し、BSC(バランススコアカード)戦略マップの4つの視点にマッピングしてみた。見事にバランスよく当てはめる。

 

BSC戦略マップ

 企業の経営目標を実現するため、ビジネスモデルを作る。ビジネスモデルを検証するのフレームワークとして、私たちITコーディネータはBSCの戦略マップを活用する。戦略マップは経営目標を達成するためのシナリオであり、目標達成に至る各CSF(重要成功要因)や課題の因果関係・関連を図式化して見える化することで、経営戦略の全体像を把握することができる。

(下記の戦略マップをクリックすると拡大表示)

ものづくり補助金の事業目的

 ものづくり補助金の事業目的には、こう書かれている。「足腰の強い経済を構築するため、日本経済の屋台骨である中小企業・小規模事業者等が取り組む生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等の一部を支援します」。この事業目的、「生産性向上に資する」に叶った事業かどうかを審査する項目が、上記のBSC戦略マップにバランスよく当てはまるのは、当然といえば当然であろう。

 

経営力向上計画

 ものづくり補助金の採択判定には、8つの審査項目の他に加点項目というものがあり、その一つに「経営力向上計画」の認定がある。「経営力向上計画」とは、中小企業の経営力向上を目的として、平成28年7月にスタートした国の制度である。目の前の仕事に場当たり的に対応するのではなく、ローカルベンチマークによって自社の状況を確認し、自社を取り巻く外部環境に注視して、自社の課題と対応策を盛り込んだ経営計画を立案する。目標を持って経営することで、経営力が向上するであろう。これが「経営力向上計画」の背景にある考え方である。ものづくり補助金を活用した事業は、まさに経営力向上計画の考え方にもとづいて行うべきである。購入予定の設備があるから、専門家に依頼してものづくり補助金を獲得してもらおう、では経営力向上は決して実現しない。経営者自らがものづくり補助金の事業目的を理解し、経営力向上計画に取り組むことが、国のお金を有効に社会に還元する(利益を生んで納税)ことになる。

 

 添付のBSC戦略マップには、審査項目ごとに大事なポイントを経営力向上の視点でコメント(赤の吹き出し)した。補助金獲得が目的にならないよう、特に赤枠のコメントは重要である。