9月が待ち遠しい!

今年9月、日本で開催されるラグビーワールドカップ。チケットの売れ行きは予想以上に順調なようです。「Rugby World Cup 2019のチケット」のホームページを見ると、例えば日本の初戦対ロシア戦は5万円以上の高額なチケットしか残っていません。それも残りわずか。4年前の南アフリカ戦の勝利に目頭を熱くした私にとって、ラグビーワールドカップはオリンピック以上のものがあります。ラグビーを見るのは、本当に楽しいものです。ラグビー観戦を楽しくするために、まずはルールを知ることです。

 

ラグビーのルール

ラグビーはサッカーと比べて、競技ルールが難しくてなじめないという声を聞きます。その代表格がオフサイドルール。スクラム、モール、ラック、ラインアウトなどのセットプレーのオフサイド。プレー中のオフサイド。多様でルール改正が多く、なかなか理解し難いものです。しかし、ラグビーの誕生の由来やラグビー憲章を知ると、「そうだったのか」という思いとともに、理解が進みます。

 

レフリーは「反則をポケットにしまう」

どういう意味でしょうか。難解なルールを知り、ラグビーをもっと楽しむためには、レフリーの李淳馬日氏が書いた『ラグビーをひもとく』(集英社)を読むことをお薦めします。これからこの本を参考にしながら、ラグビーのいろいろを記していきたいと思います。なぜボールを前に投げられないのか? なぜ、反則があってもレフリーが笛を吹かずに「流す」のか? ラグビーのルールは、安全に楽しくゲームを継続するために存在し、「ルールよりゲーム」という基本的な考えのもとに存在するからです。例えばプレーヤーがノックオン(ボールを前にこぼす)するとプレーは中断され、通常はセットプレーの一つであるスクラムで試合を再開しますが、ノックオンしたボールが「相手にわたったら」アドバンテージとしてプレーは継続されます。また反則によって「相手の利益を奪った」と判断されれば、罪の重いペナルティを与えます。レフリーは「反則によって一方が利益を得たかどうか」を判断しているのです。そのため反則でも、そのままプレーを続行するするレフリーは「反則をポケットにしまう」という行為をするのです。

 

ラグビーの由来

それは祭りから始まった。イングランドにおいて、ローマ人が村や町をあげての「祭り」としてフットボール(現在のラグビー)を楽しんでいたようです。ゲームは、村全体をグラウンドとして行われ、参加人数に制限なく二つのチームが一つのボールをいずれかのゴールに入れるまで押し合いへし合いしながら奪い合うというものだった。そんなお祭りも19世紀になると各地のパブリックスクールでゲームとして行われるようになり、必然的にルールが生まれたきた。繰り返しになりますが、ルールはあくまで敵味方がスムーズに、観る人もプレーヤーも面白くゲームを進めるために存在する、ということです。

 

 

クレーバーで紳士的なラガーマン

難解なルールを理解し、ゲームで自律的に臨機応変にプレーすることが要求されるラガーマンにはクレーバーさが必要です。そしてラグビー憲章は「目的は、ラグビーがそのユニークな特徴をフイールドの内と外の両方で維持することを確実なものとすること」としています。ラグビーは単なる得点を競い合うゲームではなくフイールドの外でもその特徴を維持することをラガーマンに求めています。フイールドの外でその特徴を維持することについて「ゲームをプレーすることとは別に、ラグビーには勇気、忠誠心、スポーツマンシップ、規律、そしてチームワークといった多くの社会的・情緒的概念が包含されている」とも書かれています。ラグビーをプレーするためには、社会生活に必要な要素が求めれれているのです。このようにラガーマンに必要な要素をみていくと、ラガーマンにはクレーバーで紳士的な人が多いような気がします。クレーバーさと紳士的な要素を持っているラガーマンを私の独断と偏見で挙げると、以下のようになります。

 

日本ラグビー協会指導者

  • 宿澤広朗(故人)
  • 平尾誠二(故人)
  • 薫田真広
  • 中竹竜二
  • 岩渕健輔

現役

  • 堀江翔太(日本代表候補)
  • 福岡堅樹(日本代表候補)
  • 小野晃征(サントリーサンゴリアス)

現役引退者(又は指導者)

  • 朽木英次(元トヨタ自動車)
  • 小林日出夫(明大から新日鐵釜石へ)
  • 堀越正巳(立正大学ラグビー部監督)

 

ジャジーの襟はこの目的のためにあった!

ラグビーが終了すると、ノーサイドとなります。敵味方がない状態です。ノーサイド後にはラガーマンは、ワイシャツに着替え、ネクタイを締め、お揃いのブラザーを羽織って儀式(戦った両チーム関係者との交流会)に参加します。厳つい顔したラガーマンが、紳士に変身するときです。ラグビージャージーに襟がついているのは、ノーサイド後の儀式にネクタイを締めて参加できるように、との名残りだそうです。あと4か月後、日本代表フォワードの堀江、バックス福岡の勇気あるプレー、クレーバーなプレーを観たいものです。9月が本当に楽しみ。