右脳思考、学習による勘の蓄積

 早稲田大学ビジネススクール教授内田和成さんの新著です。この本が伝えようとしていることは「ロジカルシンキングの否定ではない。ロジックだけでなく感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める、あるいは、成果をあげることができるということである」と。

 

 人間を動かすのは感情である

 今年も、ふくい産業支援センターにおいて「SE・営業のための提案力向上セミナー」を4日間シリーズで開催します。長年続く人気のセミナーです。このセミナーの冒頭に受講生全員に自分のハーマンモデル思考パターン(プロフイール)を書いてもらいます。目的は、自分と他の受講生との思考パターンを認識し、グループ内で上手くコミュケーションをとれるようにすること。最終日に行うケース企業経営者へのプレゼンテーションにおいて、社長の思考パターンに合わせたプレゼンをして意思決定を引き出すことにあります。

 内田和成さんもこのように言っています。「人間を動かすのはそれが正しいか、間違っているか、あるいはやるべきかどうかという理屈、すなわちロジックではない。やりたいとか、面白そうとか、やらないとまずいなといった気持ち、すなわち感情である」。

 

(出典:『右脳思考(内田和成著』)

 いきなりフレームワークを持ち出さない

 ITコーディネータ(ITC)としてお客様のIT経営を支援をする場合、著書の図に近いステップで行います。第1ステージのインプットでは、プロジェクトメンバーによるワークショップをファシリテートしながら、メンバーの何気ない発言やアイディア、全体の雰囲気を5感をフルに活用して感じ取ります。そして、自分なりに仮説作りをします。第2ステージの検討・分析に入ると、問題・課題関連図などのフレームワークを使い、問題・課題を構造化し、真の問題・課題を特定します。 そして第3ステージでは、ITベンダーに委ねるためのIT企画書などをロジカルに詰め、意思決定を促す段階では、経営者との右脳を使ったコミュニュケーションも必要となります。まさに思考は、左脳と右脳の使い分けです。

 

 学習による勘の蓄積

 では右脳はどのようにして鍛えることが出来るのだろうか。右脳(勘)は意識しながら経験を積むことで鍛えることができる。これを著者は「L型(Learned Talents)」の学習による勘と言っています。まだまだ未熟なITCコンサルタント。これからも、経験というデータベースを厚くしながらお客様と向き合っていきたい。