課題は、接点づくり

多くの中小企業が抱えるシステムの悩み

 自社のITシステムは業務ごとにバラバラに導入して、それらの繋がりがまったくない。業務拡大に伴い、ITシステムの再構築が大きな課題になっている。提案してくるITベンダーに対して、ITベンダーに言いなりにならずカウンターパートとして自社に最適なシステムをITベンダーとともに考え、設計してくれる人材が欲しい。

 これは、私の知人から相談依頼を受けたFK社の案件です。昨年私のケース研修を受講してITコーディネータ(ITC)になったばかりのSさんを紹介して、その会社と業務委任契約を取り交わして週2日支援に入ってもらっています。支援も順調に進み、RFPを発行してITベンダーを決める段階になっているようです。

多くのIT活用促進施策

国の「平成31年度の中小企業のIT活用促進施策」には、下記のように、ITCが専門家として関わりが期待される施策が数多くあります。 

  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 企業間データ連携(EDI導入)
  • 日本版Go Digital専門家派遣
  1. 無料のミラサポ専門家派遣のうち、IT導入に係る課題については年5回まで派遣可能に拡充
  2. セキュリティについて、RISS(情報処理安全確保支援士)を紹介・派遣する体制整備
  • その他、軽減税率対応

 

追い風でも、仕事は来ない

 FK社を含め、私の知人で経営者と接点のある方から3件、ITコーディネータのネットワークから1件、ITシステムに関する相談依頼があります。これらの方の経営者との接点は、経営革新計画支援、ものづくり補助金申請支援、Webマーケティング支援などです。これらすべてITCの支援領域ですが、他の専門家(中小企業診断士など)や自称コンサルタントにカバーされています。

 いかに経営者との接点を作っていくか、ITCに課せられた課題です。幸いかな、国のIT活用施策の多くは、ITCの専門領域です。しかし、経営者と接点を作らない限りは、これらの施策を有効に中小企業に活用できません。今ITCは追い風と言われますが、黙っていても仕事が来ることはありません。ITCに問われるのは、経営者や経営者とお付き合いのある方との、普段からの、接点づくり。