TV取材を受け・・・

なぜシニア起業が増えているのでしょうか

先日、シニア起業をアドバイスする県の創業マネジャーとして地元テレビ(福井テレビ)の取材を受けました。「なぜシニア起業が増えているのか」、「シニア起業の相談傾向について」です。以下、そのときお話しした内容です。(*テレビカメラが回る中、短時間の取材でしたので、すべてお話しできていません)

 

 アナウンサー「なぜシニア起業が増えているのでしょうか」 

⇒そうですね、二つの要因が考えられます。一つの大きな社会的な要因として、 人生100年時代と言われるように、サラリーマンの定年後からの時間が大きく伸びたことです。自由に使える長い時間、何をして過ごしたらよいのだろうか。 これがシニア起業の大きな動機になっています。この時間は、使いようによっては「黄金の15年、20年」となると言っている人もいます。この15年から20年を、少しでも充実した第2の人生にするため、定年間近のシニアの方が一つの選択肢として起業を考えるようになったのだと思います。もう一つは、雇用環境です。企業においては55歳頃から役職定年が始まり、60歳で定年を迎えます。その後は再雇用で65歳まで会社で仕事が出来ますが、給料が大幅にダウンし、仕事の内容もやりがいの薄いものになっていきます。65歳まで勤め上げ、その後に起業を考えるのでは、気力・体力面で遅すぎる。そのように考え、シニア起業を検討するようになっています。 

 

 アナウンサー「シニア起業の相談傾向についてはどう思われます」 

⇒若い人の起業相談を比べると、シニア起業相談の特徴は、 シニアの方は比較的お金に余裕がある人が多く、稼いで生計を立てるためというよりも、収入は少なくてもいいから自分の得意分野で出来るだけ長く社会に関わって生きたい、ということがシニア起業の目的になっています。そして、シニアの方は仕事の経験が豊富で自分の強みもわかっていますので、 思い付きの起業プランではなく、これまでの経験とキャリアを活かした事業を やりたいと考えていることです。 

 

シニアの生き方いろいろ

これまで創業マネージャーの仕事に関わってきて、いろいろなシニアの方の相談をお聞きし、アドバイスしてきました。多くのいわゆる「定年本」も読んできました。これらの経験、知識をネタに、このブログで、シニアの定年後の生きかたについて、いろいろ書いてきました。ブログの一部を要約した形で再掲します。

 

「好きにするおじさんたち・・・」(7月29日)では、

  • 中小企業白書(2017年度版)の起業・創業実態調査をみると、起業した人の年齢では60歳以上のシニアが最も多く、全体の35%を占めています。この調査では、起業を希望する動機も調べていますが、60歳以上の年代は、「時間的な余裕ができた」が最も高くなっており、次いで「働き口(収入)を得る必要があった」の順になっています。

「夫源病にならないために・・・」(7月7日)では、

  • 「定年退職後、無職になった夫が常に家にいることが原因で、妻がストレス症状を訴えるようになるのを主人在宅ストレス症候群もしくは夫源病というそうだ」。郡山さんの著書『定年前後の「やってはいけない」』の中に書かれています。郡山さんは93歳。ソニーの元常務で現在もなお現役社長として働いている方です。

「イキイキしなくちゃダメですか」(6月30日)では、

  • 創業マネージャーとしてシニアの方に起業をすすめている私にとって、定年後は大きな関心事です。・・・先日、51歳の公務員の方が定年後に考えている起業プランを持って相談に訪れました。対話というキャッチボールをしながら、定年後の起業プランの練り直しをアドバイスしました。・・・9年後先の定年を見据えて、今から準備している人は少ないと思いますが、定年後の生活を生き生きとさせるためには、準備は必須です。「イキイキしなくちゃダメですか」の高橋秀美さんの『定年入門』には定年が来たらこれをしようと準備し、定年が来るのを待ちわびていた多くの方の生き方が紹介されています。

「何歳になってもリカレント(学び直し)」(3月24日)では、

  • 人生100年時代。この言葉は、安倍政権の目玉政策「人づくり革命」のキーワードになっています。設置された「人生100年時代構想会議」で議論されているのが、社会人の「リカレント(学び直し)教育」です。『ライフシフト 100年時代の人生戦略』の著者 英国ロンドン・ビジネススクールの教授 グラントンさんも同会議のメンバーに入っています。時代の流れに沿って、自分の才能を活かせる人生戦略を考え、生き方働き方を変えていく。ライフシフトとは、こんな考えかたを指すのでしょうか。そして100歳まで元気に幸せに生きる人生戦略を作るライフシフトには、「リカレント(学び直し)教育」が必要になってくると。

「シニア生き生き活動相談センター」(3月3日)では、

  • 私は、「シニア起業のススメ」(セミナー)でこう言っています。60歳の定年退職から75歳までの15年間は、自分のやりたかったことを起業して輝く黄金の15年にすることができます。その後の75歳からの生き方として、シニア生き生き活動相談センターを主宰している松村さんは、こんなアドバイスをしているそうです。あなたは何歳まで運転しますか。高齢で運転することの危険を考えましょう。運転には心身のストレス、お金、事故の心配という大きなコストがかかっています。車をやめても安心して買い物や通院ができます。近隣の方々との交流ができます。まだまだ地域社会に果たす役割がありますと。75歳からは車をやめて(免許証を返上)、いぶし銀の10年にしましょうよと。

 

自分の環境に感謝しながら・・・

先週、某県内企業の役員を長く勤め、今年退職したシニアの方と忘年会で酒を飲みながら、近況をお互い話す機会がありました。その方は母の介護を妻に任せず、自らやるため、退職を選択したと。私は幸いにも両親の介護という経験はありません。起業したくてもできない。家族の世話で目一杯というシニアの方を見ると、自分の環境に感謝しながら、これからも創業マネーキャー、ITコーディネータとして社会に関わり、長く続けていきたいという想いを強くしたところです。