AIは新入社員と同じ・・・

AIへの過剰な期待

10月11日、「日本におけるテクノロジーのハイプ・サイクル2018年」がガートナージャパンから発表されています。2018年現在の日本のICT市場において、ITリーダーがデジタル・ビジネスを推進するに当たり重要な役割を担う代表的な40のキーワード (テクノロジ、サービス、方法論、プラクティス、コンセプトなど) を取り上げ、下記のようにコメントしています。

「2018年現在、モバイル、ソーシャル、クラウドは、ある意味利用して当たり前のものになりつつあり、モノのインターネット、人工知能、ブロックチェーンなどさらに新しいトレンドが注目を集めています。一方で、このような個々のテクノロジとは別に、自社で運用・構築するITシステムをオープンにし、社内外のビジネス・エコシステムと連携することで、より大きな成果を得ようという発想が有望視され始めています。ガートナーでは、2016年から、このような発想を実現するものとして、デジタル・ビジネス・テクノロジ・プラットフォームを紹介しています。一方、。昨年、ピークにあると評価した『人工知能』『ブロックチェーン』に対する期待はピークを越え、『幻滅期』へと坂を下りつつあります。今後、概念実証 (POC) や先行事例の結果が公表され、取り組みの困難さが顕在化するにつれて、慎重な姿勢が企業間に広まるものと予想されます。また、『デジタル・ビジネス・テクノロジ・プラットフォーム』は、いまだ新しいコンセプトと位置付けられていますが、市場からの期待は急速に高まっています。逆に、現在幻滅期の谷底から上昇中の『ビッグ・データ』は、安定期に達する前に陳腐化すると再評価しました。ビッグ・データの活用に向けた検証や試行は、医療、製造、公共サービス分野、さらには顧客とのエンゲージメントといったさまざまな業種や業務において今後も進むと考えられますが、対象が曖昧な『ビッグ・データ』という表現は使われなくなり、業種・業務特化型ソリューションの一部として広がっていくとみているためです」

ガートナーの言うように、人口知能(AI)は過剰な期待のピークを過ぎ、幻滅期に入ったのだろうか。

AIは進歩している

先日、富山市で開催された「ITコンサルタントのための実践AI(AIクラウド体験研修)」を受講してきました。講師は、ITコーディネータの井上研一さんです。内容はAIの体験研修で、IBM Cloud上(無料版)でIBM WatsonのVisual recognitionを使っての画像認識。同じくVisual Assistantを使ってのChatBotの作成。MicrosoftのAzure MLを使っての線形回帰モデルの作成と予測。画像認識のAI体験では、犬と猫の画像を夫々10枚づつ訓練データとして学習器に読み込ませ、テストデータ(犬又は猫の画像)の認識を試します。今年の1月時点では、テストデータの認識率は45%だったものが3か月後(4月)には92%に向上してきています。AI、厳密に言うとWatsonのコグニティブアルゴリズムは進歩し続けていることを物語る話しです。数年後のAIは、ハイプサイクルの底から上昇し、ITの一機能化して安定期に入るのではと勝手に思っています。

新入社員研修

当社に入社した新入社員には、厚生労働省「人材開発支援助成金」を活用してソフトウェア開発における実践的な技術を修得するため、3か月間、教育訓練を実施しています。株式会社エンベックスエデュケーションが実施するソフトウェア開発に関する総合的な基礎知識とJava言語によるプログラミングの基礎の座学訓練(Off-JT訓練)。その後は、社内プロジェクトに入れ、OJTをとうしてソフトウェア開発における実践的な技術を修得する訓練を実施しています。今新入社員は半年が経ち、お客様プロジェクトに先輩社員とともに参画し、実戦力として仕事をしています。その成果は?経営者の評価は? 気になるところです。

(井上研一氏の研修資料より)


AIが力を発揮するのは学習モデルの出来第

講師の井上研一さんが研修の中で話ししていた「AIは新入社員と同じですよ」。納得するところ大です。IT、コンピュータのモデルは凄くシンプルです。入力したデータを演算器(アルゴリズム)が計算・判断し、結果を出力する、というものです。しかしAIになると、人間の知識などの訓練データを準備し、学習器(アルゴリズム)に教え込ませ、学習モデルを構築するというプロセスが加わってきます。このプロセスによっていかに利巧な学習モデルを作り上げるかが、AIを実務に使えるようにするための重要なポイントです。では利巧な学習モデルはどのようにすれば構築できるのだろうか。AIを新入社員に例えれば、稼げる社員にするにはどうすればよいのだろうか。それは共に、場数を踏む必要があるということです。AIには訓練データの質を上げ、多くのデータを読み込ませる。新入社員には辛い経験もさせ、継続的な教育も実施する。AIも新入社員も使う側の知恵と努力、忍耐が問われそうです。