経営者の信頼を得るには・・・

機関紙『架け橋』より

ITコーディネータ協会の機関誌「架け橋」10号(2010年上期号)の特集は、ユーザ企業の経営者に聞く「仕事を頼みたくなるITコーディネータとは?」でした。冒頭に、株式会社会宝産業さんと私の事例が掲載されています。掲載された内容を引用します。

「この人はすごく理解力があるな、話をすると返ってくるものがあるなと感じました。これなら何も隠すことなく“素”の部分を知って欲しいと思ったのです。全部話せれば気持ちがすごく楽になりますし、世界も広がります」(近藤社長)。経営者が「もっと話したい」「深く話したい」と感じるような聞く力が、互いの信頼関係を強くするのだ。近藤社長はこれを「人間力や包容力」と表現する。横屋氏は毎月1回の定例会に参加。会宝産業の従業員とITベンダーが意見を交わす場をサポートしている。「互いのコミュニケーションギャップがありますからお互いを理解するためにこうしたミーティングはとても大事です。特に運用管理はユーザーさんの側にもやるべきことがありますから、その意識を高める必要があります」(横屋氏)さらに、現場のメンバーが主導する新しいITプロジェクトも立ち上がり、ITに対する理解を深めてもらっているところだという。ITC横屋氏は、「実はこのような場面にもITCの仕事は豊富にあると思っています。システムは運用して成果が出て初めて意味があるわけですから、使いこなす支援にも目を向けていきたいものです」と語る。

V字モデル

書籍『共通フレーム2013』。これは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)から発刊されています。コンピュータ・システムの開発において、システム発注側(ユーザー)と受注側(ベンダ)の間で相互の役割や業務の範囲・内容、契約上の責任などに対する誤解がないように、双方に共通して利用できるよう用語や作業内容の標準化するために作られたガイドラインです。 ガイドラインによると、ユーザー(利用部門やユーザー企業)が「こんなシステムにしたい」というのが要求。それを分析し、最終的に新システムに反映させるものに練り上げたのが要件。分析によって、要求を練り上げ、要件として確定したものを要件定義としています。共通フレーム2007で「要求分析」といわれていた概念を、共通フレーム2013では、「要件定義」と変更しています。この共通フレームの中にV字モデルと呼ばれている概念図があります。ソフトウェアの開発~テスト~リリースまでの一連の流れにおける、開発工程とテスト工程の対応関係を表した1つのモデル図です。赤で囲った経営評価、情報化評価が最も企業経営者が気にするところであり、第三者的な立場のITCに支援を求めるところでもあります。どぶに捨てたIT投資にならないように、ITの投資効果が経営にも及ぶようにしていくこと。ITCの腕の見せ所でもあります。

達成度評価


昨日6日間のITコーディネータ(以下、ITC)資格取得のためのケース研修が終了しました。最終日、IT利活用プロセスでは以下のような演習課題を実施します。前述したV字モデルの経営評価、情報化評価のところです。

 <演習課題1>IT戦略の達成度評価

 IT戦略にて規定されたIT戦略の達成度を計測し、評価をしてください。また、達成目標との差異分析を実施し、必要に応じて問題点を抽出し、解決方針を明らかにしください。

 <演習課題2>経営戦略達成度評価

 経営戦略にて規定された経営戦略達成度を計測し、評価をしてください。また、達成目標との差異分析を実施し、必要に応じて問題点を抽出し、解決方針を明らかにしください。

この演習課題で見つかった問題の原因を特定し、達成評価数値の実現を目指す。そして新たな課題を設定して、企業の次の変革につなげていく。すごく重要なプロセスです。ITCが顧客の信頼を得て、長く企業の支援を継続できるか否かのポイントとなるプロセスでもあります。

 

志の高いITC

打ち上げ会で、大手ITベンダーのSEをしている40代の受講生と青竹冷酒を飲みながら、ケース研修を受けてすごく勉強になったこと。これからITC資格を業務に活かしてやりたいこと。自分の将来のことなど、いろいろ話しを聞かせてもらいました。彼が言うには、今の仕事の延長線上でスキルや経験を蓄積することも大事だが、もっと視野を広く、さらに自分を成長させて経営者と話しが出来るようになりたい。そして地元企業のシステム導入・構築に貢献したい。将来はこのようなことが出来る自分になっていたいと。受講生の一人でもこのような志の高い人がいたことが、インストラクターとして嬉しいことでした。第2期のケース研修は来年1月12日(土)から始まります。インストラクターとしてモチベーションを高め、私たちの真の仲間(志の高いITコーディネータ)を増やしていきたいと思っているところです。