イキイキしなくちゃダメですか

人生100年時代

人生100年時代と言われています。しかし実感が湧きません。「国連の推計によれば、2050年までに、日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込みだ」との大杉 潤氏の『定年後不安』での記述を読むと、そうなのかと思わざるを得ません。そういえば最近、書店には定年本が目立つようになっています。中にはベストセラー並みの出版部数を誇るような本も出てきています。楠木 新、大杉 潤、高橋秀美、勢古浩爾。この4氏は、定年についての本を書いている作家です。この人達の定年本を読み比べてみました。読み比べしたのは、4氏それぞれに定年、定年後についての考え方が違うためです。定年後の不安を解消させるため、定年後は起業して社会にかかわり、生き生きとした生活をしよう派の『定年後』、『定年準備』の楠木 新さんや『定年後不安』の大杉 潤さん。定年とは元々新たなに世に出る「出世」であり、どのような定年後の生き方にも「おめでとう!」と祝福すべきとエールを送る『定年入門』の高橋秀美さん。そして何もしない静かな生活、そこそこの健康とそこそこの自由があれば、あとはなんとかなる『定年後7年目のリアル』、『さらなる定年後のリアル』の勢古浩爾さん。

 

定年入門

「イキイキしなくちゃダメですか」とタイトルと並んで書かれている高橋秀美さんの『定年入門』。定年が存在しないノンフィクション作家である著者が、定年を迎えた人々のインタビューをもとにして、いろいろな定年後の暮らし方を書いた本です。定年後のあるべき論もなければ、ひたすら定年後の人生を興味深く、暖かい目で取材している姿勢が著書から伝わってきます。定年後の3つの不安(1.お金、2.孤独、3.健康)を社会につながって生き生きと暮らすことによって解消する。この生き方を勧める定年本が多い中、この本は、どのような定年後の生き方にも「おめでとう!」であり、これから定年を迎える人は「この人、自分と似ている」と大きな共感を覚える本だと思います。

 

 

準備は必須

創業マネージャーとしてシニアの方に起業をすすめている私にとって、定年後は大きな関心事です。今年で3年目になりますが、多くの方から定年後の相談を受け、対応してきました。先日も51歳の公務員の方が定年後に考えている起業プランを持って相談に訪れました。対話というキャッチボールをしながら、定年後の起業プランの練り直しをアドバイスしました。「定年までに起業プランを準備することが嬉しくて楽しくなります。又来ます」と言って帰っていきました。9年後先の定年を見据えて、今から準備している人は少ないと思いますが、定年後の生活を生き生きとさせるためには、準備は必須です。「イキイキしなくちゃダメですか」の高橋秀美さんの『定年入門』には定年が来たらこれをしようと準備し、定年が来るのを待ちわびていた多くの方の生き方が紹介されています。起業だけでなく、イキイキとしたこんな定年後があったのかと気づかされます。勢古浩爾さん曰く、「そこそこの自由があれば、あとはなんとかなる」。定年で得られた自由をどんなことに使うんでしょうか。これから定年後がどんどん長くなっていきます。次回は、勢古浩爾さんの反対側にいる楠木 新さんや大杉 潤さんの著書も紹介しながら、定年後は「イキイキしなくちゃダメですよ」について考えてみます。