ケース研修(IT戦略企画)で学べること②

経営戦略企画書は中期、短期計画書として各部門へ展開していきます。各部門へ展開するプロセスにおいて、機能、即ち機能を担当する部門ごとに業務プロセスの課題とIT利活用で実現するIT領域戦略課題に分けて課題を設定します。ビジネス改革や業務改革を伴う業務プロセスの課題は、業務改革プロジェクトとして実施します。一方、IT領域戦略課題は、IT戦略プロセスとしてIT戦略プロジェクトに引き継がれます。

 

業務改革とIT戦略は、それぞれが独立したプロセスですが、車の両輪のような位置づけであり、相互に連携し、協働する必要があります。

 

経営戦略とIT戦略、業務改革との橋渡し

IT戦略策定のプロセスは、下記のような手順で実施します。

(手順1)現行業務プロセス分析

IT領域の戦略課題の範囲に関する現行業務プロセスを確認し、現行業務プロセス上の課題を可視化します。

(手順2)IT領域の内部と外部環境の分析

現行IT環境や制約条件、IT動向を分析し、課題を特定してIT成熟度を見直します。

(手順3)目標業務プロセスの策定

IT化によって実現すべき「あるべき業務プロセス」をIT経営の成熟度からの視点を踏まえ、策定します。

(手順4)目標IT環境の策定

現行のIT環境とIT経営の成熟度を踏まえ、あるべき業務プロセスを支援するIT環境を策定します。

(手順5)基本方針、達成評価指標、目標値の設定

IT戦略の達成状況をモニタリングするための基本方針および達成評価指標と目標値の大綱を設定します。この手順は、IT戦略企画で最も重要です。IT戦略企画書のKGIが経営戦略企画書で設定したKPIと紐づけされていること。IT戦略のKGI(達成指標)が達成されれば経営戦略のKPI、そしてKGIが達成されるシナリオが求めれられます。

(手順6)IT環境構築の基本方針 

IT戦略を実行するIT資源調達、IT導入、ITサービス利活用の各ステップの体制と基本方針、および概要スケジュールを決定します。

(手順7)目標ITサービスレベルの設定

ITサービス方針に基づき、IT戦略目標達成に必要なITサービスレベルに関する各事項を設定します。通常はITベンダーとの間で取り交わしますが、自社内においても、業務部門との間でSLAを取り交わします。

(手順8)IT戦略企画書の作成と経営者へのプレゼン

ここまで検討してきたIT戦略の内容をIT戦略企画書としてまとめ、次のステップ(IT資源調達)に進むための経営者の決済を得るプレゼンテーションを行います。

 

(次回は、IT資源調達について)