「青春18切符」を楽しむ

最終スタンプは東京駅で

安価であることが魅力の「青春18切符」。5回分(5日)使えて、11,850円。1日JR普通電車でどこまで行っても、1回分2,370円である。使うごとに横長の切符にスタンプが押される。この切符を使って東京から福井まで帰るのは、今回で2回目になる。9月10日で使用期限が終わるこの切符。私の切符には4つの使用済スタンプが押されている。9月8日から東京への出張が予定されていたため、この切符の最後のスタンプは東京駅で押してもらうことを、出張前から目論んでいた。のんびりと、好きな伊坂幸太郎の本を読み、浮いたお金で少し贅沢し、疲れたら途中寄り道をし、長旅を楽しむ。「青春18切符」での出張帰り旅である。

東京発8時38分 東海道本線

朝早めにホテルを出る。朝食は東京駅ナカにあるCafe併設の書店でカレー朝食セット。昨日の懇親会での「久保田(新潟の銘酒)」の余韻が残った身体は、朝食にカレーを求めていた。そこで目的の本『AX(アックス)』1.620円を買う。カレーの辛さにすっきりした身体は、東京駅9番、10番番ホームに向かう。

 

東京駅9番、10番番ホーム

このホームからは新幹線を普段とは違ったアングルで見ることができる。新函館北斗行きの「はやぶさ」と秋田行きの「こまち」の長いノーズが口づけした光景は、見ていて楽しい。10番線ホームに熱海行き8時38分発が入ってきた。これに乗り、まづは熱海まで。土曜日はサラリーマンに代わって、家族連れが多い。

伊坂幸太郎ワールド

熱海まで約1時間50分。まだ朝口、身体も頭も清新なうちに、伊坂幸太郎の『AX』を読もう。『AX』は伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの第3作。読むうちに、しだいに伊坂幸太郎の世界に引き込まれていく。殺し屋仲間内では一目も二目も置かれ、そつのない冷徹な殺し屋「兜」と呼ばれる主人公。高校生の息子を持つ家庭では、文房具メーカーの営業マンでとおっている。妻には頭があがらない恐妻家。夫が冷徹な殺し屋「兜」だとは知らない妻との会話が、なんとも面白い。電車の中で、一人笑ってしまう。昨日の懇親会の酒と睡眠不足か、読みが進まない。本を閉じる。熱海に着くまで目を閉じて、しばし、休もう。

まづは浜松まで

寄り道せず、電車を乗り継いでいけば、予定では18時46分には福井に着く。しかし、寄り道せづにホームからホームへと電車を乗り継ぐだけでは、楽しくないし、疲れる。そして目的も果たせない。熱海駅では50分ほどの大休憩をとった。駅ナカのCafeで今日2回目のコーヒーを飲む。予定の電車を乗り過ごしたため、浜松までは興津駅で乗り換え、そこから浜松に向かう。乗り継ぐときは、始発電車か折り返しの電車を乗ろう。ゆっくり座っていける。これは、普通電車で楽に旅する一つのポイントである。このあたりで、浜松でお薦めのうなぎ屋さんを探しておかなければならない。浜松といえば、ITコーディネータ仲間の木村玲美さんだ。さっそくFBで聞いてみる。

八百徳のうなぎ

木村さんからメッセージが返ってきた。関東風であれば、あつみ。関西、名古屋風であれば・・・あたりです。浜松はちょっと蒸しが甘いですよ、と。あつみの情報をスマホで確認。あつみは超人気店のようで、うなぎがなくなり次第、おしまいとのこと。行きたいが、食べることができるかどうかは、賭けになる。諦め、関西・名古屋風のうなぎの店、八百徳駅南店に行くことにした。時刻は13時45分頃なので、店は余裕で空いていると思っていたが、こんな時間でも多くのお客様がいる。かろうじて待つことなく入店。そして迷わず注文「上うな重(3,456円)ください!」。さすが本場のうなぎ、蒸しが甘いか深いのかはわからないが、ふわーっとした美味しいうなぎ。今回の目的の一つは達成。

次は名古屋のういろう(虎屋)

浜松では遅い昼食の大休憩。次の目的地名古屋までは豊橋を経由して行くことになる。浜松から豊橋までは約30分。頻繁に電車は走っているようだ。15時15分発の豊橋行きに乗ることにした。浜松は、NHK大河ドラマ「井伊直虎」のご当地。まだ30分ほど時間がある。駅ビル7階で開催されている井伊直虎のミニ展示を見ることにする。女城主井伊直虎には残っている史実が少なく、それうえドラマの脚本家は大胆なシナリオを書ける。それが大河ドラマを面白くしている理由かも知れない。私は毎日曜日8時からは、TVの前に釘付けだ。人物像設定とストーリー展開が面白い。

名古屋から米原まで、そしてここで「青春18切符」終了

名古屋には16時40分頃着く。さっそく駅デパ地下(高島屋)で虎屋のういろうを2本買う。家内の好物であり、土産だ。ついでに夜食兼とするビールのつまみも買っておこうと、神戸コロッケのビーフコロッケと春巻きを1個づづ、買った。17時30分発の新快速米原行きに乗る。1時間程度で米原駅に着いた。ここから、特急「しらさぎ」に乗換、福井まで。ここで「青春18切符」終了とした。正直、今回は疲れた。早く家に着きたい。新幹線で福井まで戻るときとの費用の試算をしてみた。いつもは東京往復割引切符を買うので、25,590円。今回との差額は、25,590円-13,880円-2,370円=9,340円。使った費用は、『AX』が1,620円。八百徳のうなぎが3,456円。家内へのお土産ういろうが928円。米原からの特急+運賃が2,820円。締めて、9,340円-(1,620円+3,456円+928円-2,820円)=516円。516円が残り、当初の予定では18時46分には福井に着く予定が20時になった。多くを読み残している『AX』は次の出張の楽しみとしたい。待っていてくれ殺し屋「兜」。使わない手はない、「青春18切符」。