強みからしか、ビジネスは成功しない

顧客が離れていく・・・

某商工会議所が企画したITを活用した顧客情報管理セミナー。セミナー後の個別相談を希望された方が8名。受講者26名の内、約3割。顧客が離れていく危機意識を感じる数字です。セミナーのテーマは「顧客流出を防げ!顧客管理 徹底講座」~IT をつかって顧客情報を有効活用しよう~です。事例を交えこんな内容をお話ししました。

・顧客とは

・お客様が見えていますか

・お客様の視点から己を知る

・お客様データ(情報)を明確にし、収集する

・ITによる顧客データ活用と事例

 

お客様を知っていますか

セミナーの冒頭に「お尋ねします」と下記のような項目、12項目についてチェックしてもらいました。

□ 月に平均何人(社)の新しいお客様があるかを知っていますか

□ お客様全体のうち何割が新しいお客様かを知っていますか

□ お客様を性別や年代別に層別に把握していますか

□ お客様が満足した商品やサービスを知っていますか

□ お客様が不満に思った商品やサービスを知っていますか

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かなりの受講者の方が、知っているに☑が少なかったようでした。だからこそ、このセミナーを受講しに来ているのですよね、と。

 

エイベルの事業ドメイン

このセミナーでも途中、エイベルの事業ドメインの考え方を受講生にお話ししました。顧客情報を管理するうえで基礎的なことだからです。ご存じのように、①ターゲット顧客②ターゲット顧客のニーズ③ターゲット顧客のニーズに対応する強み(コアコンピタンス)を洗い出すフレームワークです。

①ターゲット顧客

お客様の特徴を知り、お客様を特定する。当社に来ていただける、商品を買っていただけるお客様はどんなお客様か?お客様の特徴は?

②ターゲット顧客のニーズ

お客様のニーズを知る。なぜお客様は当社の商品・サービスを買っていただけるのか?お客様は当社の商品・サービスのどこに満足しているのか?

③ターゲット顧客のニーズに対応する強み(コアコンピタンス)

当社や当社の商品・サービスの強みを明確化する。お客様が感じているニーズは当社や当社の商品・サービスの強みと一致しているか?

ドラッカーは『プロフェッショナルの条件』でこのように言っています。「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思っている。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかを成し遂げるのは強みによってである。弱みによって何ごとかを行うことはできない」。強みと認識できても、この強みがお客様の満足度を高める、商品・サービスを買ってもらえる強みなのかどうかが重要なポイントです。

 

顧客情報を管理して何をしたいのですか?

顧客管理をしたい! 手段が目的になっていまっているケースがよくあります。IT導入、システム化は実際の行動につながらないと、経営に変化を生みません。顧客情報を管理するだけでなく、それによって具体的にどんな行動を起こすのか、どのように経営改善(売上アップ)につなげるのかが大事なポイントです。具体的な行動にむすびつけ、課題を解決するマネージメント手法として、行動を変えるための指標をKPI(先行指標)として設定し、この数字を管理するやり方があります。既に終わってしまった過去の結果を振り返っても、結果は変わりません。例えば、財務諸表を中心とした計数管理です。そうではなく、今起きている状況を早く知り、早く手を打てば、結果は変わります。観察・分析・判断を中心としたKPI(先行指標)による計数管理です。売上は(客数×客単価)で決まります。また客数は(顧客数×頻度)で計算されます。そして顧客数は(新規顧客数+既存顧客数+退去顧客数)の足し算です。売上を管理するには、売上を分解した素数要因をKPI指標として、計数管理すればよいのです。顧客が離れていく・・・。経営上の大きな問題です。やるべきこと(課題)は何なんでしょう。具体的にどのような手(解決策)を打っていけばよいのでしょうか。ドラッカーは言っています。「何ごとかを成し遂げるのは強みによってである」。離反するお客様はこれまで買っていた商品・サービスに飽きてきた、ニーズが変わってきた可能性があります。では、これらのお客様に対し、あらたな商品・サービスを開発して提案し、呼び戻しますか。現実的には大きなコストを要します。離反した顧客、離れない維持している顧客、新規の顧客、これらが顧客が全体的に増えたり、単価を大きくすることが出来れば、売上も向上します。顧客情報を眺めているだけでは、答えは見つかりません。売上を素数分解し、素数のKPI数値を管理するなど、顧客情報を加工して次の打つ手を考える。そのときITツール、Excelや専用顧客管理ソフト(弥生顧客管理など)が大きな力を発揮します。顧客管理ソフトをどのように使ったらよいのでしょうか。このような相談を受けると、その前にやるべきことを考えましょうと伝えます。もっと自社のお客様と自社の強みを知りましょうと。そこから、経営的に効果のある打つ手が見えてきます。「何ごとかを成し遂げるのは強みによってである」は「強みからしか、ビジネスは成功しない」と言い換えることができます。