わかっているようで知らない著作権、コピペのルール

これも駄目!

カラオケボックスで自分又は友達が歌う様子を動画でYouTubeに上げることは、結構多くの人がやっているようですが、この行為に対し東京地裁は、カラオケ音源が「著作隣接権」にあたるとして、カラオケ機器を提供している第一興商の訴えを認めた判決を出しました。この判決は、わかっているようで知らない著作権について、「少しは勉強しろよ!」と、私たちに警鐘を鳴らした判決と言えます。コピぺ全盛の今、私にとっても他人事ですまされない問題です。セミナーで使うパワーポイント(パワポ)のスライドに、いろいろな方や組織・団体、行政の文章、図などを引用することがあります。もちろん引用のルールを守りながらですが、本当に著作権を侵害していないのだろうか。SNSに写真を投稿するとき、この写真大丈夫だろうか。自問自答することがあります。

 

著作権とは

宮武久佳さんの著した『正しいコピペのすすめ』には、著作権の基本的な考え方として、こんなことが書いてあります。「皆さんはレストランで、お店の人にグループ写真を撮ってもらったことはありませんか。楽しい食事が終わり、満ち足りた気分で撮影を依頼するわけです。自分の携帯電話やスマホを差し出して「これで」とお願いします。店員さんと次のようなやりとりをしませんか。「もうちょっと中央に寄ってもらえますか」「笑顔で、はいチーズ」「念のため、もう一度、お願いできますか」。場合によっては、「あ、このカメラでもお願い」などと言って、結局、人数分のスマホが店員に手渡されたりします。さて、このグループで撮った社員の著作権は誰のものでしょうか?正解は、「撮影した店員」です。(中略)カメラを渡された時に、何も考えずにボタンを押す人がいるでしょうか。どんな人でも「より良い写真」をと考えながらシャッターを押すのではありませんか。つまり、店員の創意工夫が必ず入ります。著作権法では「創作的な表現」を大事にします。店員の創意工夫は「創作的表現」につながるのではないでしょうか。したがった、著作権は、より良い写真を撮影しようと工夫してスマホのボタンやシャッターを押した店員が持つことになります。(中略)撮影者の店員が著作権を持つのだから、撮影した店員に断ることなく、写真をフェイスブックやツイッターにアップロードすることはできません」。

 

コピペのルール

著作権の例外規定には、コピーの個人的使用と引用があります。個人的使用とは、自分、家族、3~4人の親しい人で、といった範囲です。したがって、冒頭に述べたカラオケボックスの件、レストランの店員さんに撮ってもらった写真を断りもなくSNSにアップすることは、許されないことなのです。そしてもう一つの例外規定である引用についてです。「引用」として認められるルールとしては、次のようなことと、されています。

☑どうしても引用しないと話が進まない、引用を行う「必然性」がある

☑自分のオリジナルの文章が「主」、引用部分は「従」である

☑引用部分は、ハッキリと他の部分と区別されている

☑引用部分を勝手に改変していない

☑引用させてもらった出典元が明記されている

(出展:Webサイト ビジネスwebデザインアカデミー 正しい「引用」のルールと著作権について)

 

間を置いて考える

今回の私のブログ、宮武久佳さんの著書の一部とWebサイトを引用させてもらっています。さて引用ルールに照らし合わせると、正しく引用しているでしょうか。厳密には、少々、あやしいコピペかも知れません。ITコーディネータ資格を取得するためのケース研修では、目的を「あらゆる組織に適応可能なベストプラクティスであるIT経営プロセス(IT推進プロセスガイドライン)を活用した活動を疑似体験することによって、ITコーディネータの業務や使命を修得します」としています。ケース研修のようにケースによって疑似体験をしたり、人の体験をなぞって真似をし賢くなっていくということは、一種のコピペです。このようにコピペはルールを守って行うことは、人間の成長には必要なことだと思っています。コピペした資料を使う前に、SNSにアップする前に、人の権利(著作権)を侵害していないか。少し、間を置いて考えることに気付かせてくれた『正しいコピペのすすめ』(宮武久佳著)です。