中小企業を元気にするITコーディネータ

疑似体験して学ぶケース研修

「株式会社インテリアライフの渡辺社長は、手形の処理のため、取引銀行に立ち寄った際、これまで、お世話になっている融資窓口の担当者に声をかけられた。具体的な融資の相談をするつもりはなかったが、世間話から、ついつい、自社の経営課題の話題に。そんな話を聞きながら、融資担当者の勧めもあり、県の中小企業振興公社にある「相談窓口」に相談してみたらとアドバイスされ足を運んだ。何を相談するのかも決まっていなかったが、ざっくばらんに、銀行で話した経営課題を聞いてもらった。すると、一度専門家を派遣し、詳しく状況を聞きたいという話になった。予ねてから専門家として登録してあった、ITコーディネータのあなたが、ふさわしいということで推薦されたあなたは、インテリアライフに出向くこととなった」。

このような状況設定のもと、IT経営プロセス(『IT推進プロセスガイドライン』)を活用した活動を疑似体験する、ITコーディネータの資格認定のためのケース研修が始まります。

 

国のITコーディネータに対する期待

平成28年の日本再興戦略2016では、日本商工会議所からの「中小企業IoT・クラウド活用推進」をテーマとした国への提言を受け、首相自ら、今後2年間に1万社以上にIT化をサポートする専門家を派遣する指針を表明しています。さらに、「サービス産業の活性化・生産性向上」の中で、「中小企業支援機関等の活用を通じた地域単位での生産性向上」において、ITコーディネータ協会やIT関連団体と協力して策定する支援人材リストの共有と活用が明記されています。今年(平成29年度)は加えて、生産性向上、働き方改革、地方創生が大きな実現目標に掲げられました。少子高齢化の加速に伴う就業構造の変化、社会構造変革が必要とされています。そのため、産業を支える中小企業においては経営者の意識改革、ITコーディネータなど専門家支援が必要であり、ITコーディネータが本来果たすべき社会的役割の発揮がますます求められている時代になってきました。

 

IT利活用の時代

ITについては、ITの普及からITの利活用の時代になってきました。国もITを使ってデータを経営に活かし、生産性向上を目指すことを声高に言っています。先日、経済産業省が47年ぶりの情報関係部門の組織改定を行ったのは、遅すぎた感もありますが、国の本気度の表れでしょう。これまでの組織、情報通信機器課と情報処理振興課を、ハードウェア産業とソフトウェア産業に対する政策を一体的に実施する「情報産業課」と、IT利活用の促進等の利用者向けの政策を適確かつ効率的に進める「情報技術利用促進課」に再編する、としています。データを経営に活用するIT利活用時代が、いよいよ始まります。

 

私にとって大事な初日

日本の中小企業380万社をより一層元気にするITコーディネータ。ITコーディネータは高い潜在力をもつ仕事であり、わたくしたちはもっともっとその役割を果たしていかなくてはいけないと思います。今期あらたにITコーディネータ協会の会長に就任した澁谷さんの言葉です。澁谷さんと同じ志を持つ私にとって、今日は大事な1日です。これからITコーディネータ認定用ケース研修の初日です。オリエンテーションではまず、ITコーディネータを目指す受講生には「国が、中小企業が大きな期待をしている人財」と元気を与えます。暑くて熱い6日間のケース研修インストラクション、頑張ります。