日頃の対策で安心「デジタル遺品」

パソコン利用者の高齢化

中高年者の数が急増している昨今、パソコン利用者の高齢化も進んでいます。今仕事でパソコンを使っていてITリテラシーの高い中高年者が高齢者になると、ある問題が起こってきます。私の世代は、いわゆるプレ団塊の世代。今年72歳を迎えます。この世代より前の方は、そんなにITリテラシーの高い方は少ないと思われますが、私は仕事柄、同世代の中では、ITリテラシーは高い方だと思います。しかし、このリテラシーの高さが危険なのです。高いが故に、紙に書けばいいのに、電子データにする。紙で残せばいいのに、パソコンのディスクやクラウドストレージにデータや情報を置いておく。あって欲しくないのですが、私も含めてITリテラシーの高い人に、もし万が一のことが起こったとき、電子データとして残った遺品、「デジタル遺品」が大きな問題になります。残された家族が困ることになるのです。

 

金融経済は電子データの時代へ

現金を持ち歩かないでクレジットカードや電子マネーで買い物をする。お店よりも、Amazonなどのネット通販で買い物をする。現金の出し入れは、通帳又は銀行カードを持ってATMではなく、インターネットバンキングで済ます。お金は金融機関に預けて貯めるのではなく、株式や信託その他の金融商品で増やす。ビットコインなどの仮想通貨もお金の代わりに使われる。今の中高年の方が高齢者になる頃には、間違いなくこのような金融経済になっていると思われます。金融経済では、お金のやりとりはすべて電子データのやりとりになります。大切な電子データはIDとパスワードでセキュリティが確保されなければなりません。

 

パスワードの管理

パスワードが弱いとセキュリティの脆弱性をついたウイルスに狙われやすくなります。重要なお金に関わるパスワードは、使いまわしをせずに堅牢なパスワードにする必要があります。そうするとパスワードは個々に異なるものが必要となり、その数も多くなって管理も大変になります。ネット上にパスワードを管理することも可能ですし、紙に書き出して保存しておく方法もあります。皆さんは、どのようにしているのでしょうか。

 

デジタル遺品対策

もし万が一のことが起こったとき、残された家族がデジタル遺品を取り出そうとしたとき、これらのパスワードがわからず、重要なデータや情報が見れない、遺品が取り出せないという状況になります。ネット上でやりとりする金融資産が家族の元に還ってこなくなります。すべてはパスワードからです。パソコンにログインするのもパスワードですから。今元気な方も自分には関係ないと思わず、日頃からの備えが必要です。デジタル遺品対策の大きなポイントは、重要なパスワードは紙に書き出し(念のため2枚を場所を変えて保管)、妻に「ここに置いてあるよ」と言っておくことです。しかし、秘密の写真、たとえば妻以外の彼女と旅行した写真、これは誰にもわからないパスワードをかけ、墓場まで持っていくことが妻への思いやりでしょうか。こころ当たりのある方のために。