体験してみてこそ知識は深まる・・・

ビットコイン最高値

5月4日の日経。ニューヨーク発の記事として「インターネット上の仮想通貨であるビットコインの取引で2日、ドル建て価格が1ビットコイン=1400円ドル台に乗せ、過去最高を更新した。・・・」と。日本のビットコイン取引所bitFlyerのホームページを見ると、今日(5月5日)現在の価格は1ビットコイン=178,000円程度と5月2日より値上がりしています。このビットコインやビットコインの中核技術となっているブロックチェーンという言葉は、最近、新聞や雑誌、メディアやインターネットでよく目にするようになりました。私がこれらの言葉を知り興味を持ったのは、昨年6月に発刊された『ブロックチェーンの衝撃』を読んでからです。それから『中央銀行が終わる日』(岩村充著)、『仮想通貨とブロックチェーン』(木ノ内敏久著)と読み続けました。ビットコインはブロックチェーンという分散システム上の金融サービスの一つです。すごいのは、ブロックチェーンのアイディアです。ビットコインという仮想通貨だけでなく、ブロックチェーン2.0と呼ばれる、株式、著作権、契約など様々価値をやり取りする将来のブロックチェーンの姿は、現代社会に大きなインパクトを与えるイノベーションです。

ヤップ島の巨大石貨

東京の日比谷公園。誰も気づかない場所に、ヤップ島の巨大石貨があります。先日、東京出張のおり、この石貨を見つけました。直径1.35mもある、大きな石です。ヤップ島支庁より寄贈を受けたときの石貨の貨幣価値は約1,000円(日本円換算)。現在の貨幣価値に直すと約375万円にもなるそうです。解説板には、石貨の貨幣価値は直径の大きさ、表面の滑らかさ、形の良さ、そして運搬の難易度によって決まられたと書いてあります。なぜこのような巨大な石が貨幣価値を持つことができたのか。ブロックチェーンのPWO(Proof Of Work)という仕組み、仕掛けを知ると、理解することが出来ます。

ブロックチェーンの革新的仕掛け

ブロックチェーンはサーバー(中央のコンピュータ)が管理する中央集権型のネットワークシステムではなく、独立した多数のコンピュータがインターネットで直接繋がり、送受信するP2P(ピア・ツー・ピア)と呼ばれる分散型ネットワークシステムです。仮想通貨であるビットコインの取引は分散台帳であるブロックチェーンに記録されます。直前の約10分間に起こった取引の数々を一つのブロックに格納し、ビットコインの利用者に送信し、ネットワークの全参加者によって「問題なし」と承認されれば、既存のブロックチェーンと正式につながれ保存されます。いったん承認されたブロックの中に偽造コインを使った不正取引が含まれていたり、後で取引記録が改竄されたりという不正が起こらない仕掛けとしてPWO(Proof Of Work)が存在するのです。POWとは、無意味な膨大な計算作業によって計算パズルを誰よりも早く解く競争原理のことを言います。計算パズルは取引が正当なものであることを示す確率的な証明です。この証明により、取引の信頼性が担保されていることになります。パズルを初めに解いた人が新たなブロックを追加し、報酬として新たに生成されるビットコインを報酬として受け取ります。今直近の報酬は12.5BTC、日本円で約220万円です。ブロックチェーンの考案者であるサトシ・ナカモトの巧妙なところは、人間の欲望に働きかけた点だと、木ノ内敏久氏は『仮想通貨とブロックチェーン』の中で書いています。アダムスミス国富論で指摘した「個々人が利己的な動機と自由意志で行動することが結果として公共的利益の増進に役立つ」。多くのビットコインネットワーク参加者は、不正をするよりも褒美の報酬をもらった方が得になると考え、中央集権的な管理者による命令や罰則がなくても、報酬という自己利益のために自発的に計算競争に参加し、ネットワークを正しい方向に向かわせようとします。前項で触れた日比谷公園にあるヤップ島の巨大石貨は、ビットコインのPOWを象徴的に表しているのです。

ブロックチェーンを実感できるサイト

上から絶え間なく落ちてくる金平糖の形をしたビットコイン。10分間隔で新たに生成されるブロック。日本最大のビットコインの取引所であるビットフライヤーが運営する ChainFlyer(チェーンフライヤー)のサイト。ブロックチェーンをわかりやすく、可視化しています。サイト右端にあるサトシ・ナカモトの創成紀(GENESIS)ブロックから、今現在、464900個のブロックが生成されていることがわかります。今も休みなく10分間隔で増え続けています。2009年に登場したビットコイン。これまでリーマンショックやギリシャ危機などの金融不安の時の逃避貨幣として機能してきた仮想通貨ビットコイン。そして一度もダウンしたことのないネットワークであり、フィンテックの大本命とされているブロックチェーン。一般的に新しいことの知識を得、理解するにはどうしたらよいのだろうか。それは使ってみること。例えば、クラウドサービス。個人的にも、企業の業務にも役立つと言われているクラウドサービス。まず使ってみて自分でお役立ち度を確認することによって、知識が深まり、どのように使えば効率的なのかの理解できるようになります。株式投資はどうでしょう。同じことが言えます。投資効果はやってみて実感できます。やりようによって、資産が増えたり無くしたりすることを実感できます。同じことが仮想通貨にも言えます。これからブロックチェーンはどのように応用されるのだろうか。常にウオッチするには、半歩・一歩、その世界に足を踏み入れる必要があるでしょう。世界情勢に影響されて変動する価格。1BTC約178000円。1BTC保有するのは、高い勉強代だろうか。まずは、ビットフライヤーのアカウントを取ることから始めてみよう。