シンプルに簡単に考える

三つのキーワード

厳密には違いますが、ほぼ同じような意味ではと思ってしまう言葉があります。経営者にとっては重要なキーワード、「粗利」、「限界利益」、「付加価値」です。みどり合同経営の「粗利、限界利益、付加価値はどう違うの?」から引用して、これらの三つのキーワードを比べてみます。すべて、売上から「あるモノ」を引いていますが、この「あるモノ」に少しの違いがあるのです。事業によっては、キーワードは、ほぼ同じになります。


粗利益とは、決算書上の売上総利益のことです。会社全体の売上から、その売上に対応する原価を差し引いて算出します。


限界利益は、売上から材料費や商品仕入、外注費のように売上に比例して変動する費用、変動費を差し引いて算出します。


付加価値は、売上高から材料費や商品仕入、外注費のように、他社への支払いが伴う費用を差し引いて算出します。

 


付加価値を上げて生産性向上

いまから50年後、日本の人口はどうなっているのでしょうか。先日、国立社会保障・人口問題研究所から発表された「将来推計人口」によれば、2060年の日本の人口は8674万人、今の7割にまで減ってしまうといいます。同時に少子高齢化がさらに進み、65歳以上の老年人口の割合が現在の23.0%から39.9%まで上昇するとしています。ともない当然ながら、労働力人口も減少していきます。そんな環境下でも日本経済が成長を続けるためには、生産性の向上が必要になってきます。特に生産性が遅れているとされる中小企業・小規模事業者。生産性向上に対する国の多くの施策が打ち出されています。その中の一つに、IT利活用による生産性を上げる取り組みとして上限100万円までを上限とした「IT導入補助金」があります。生産性向上の指標には「付加価値」が使われています。

 

起業する方のお困りごととは?

お花を仕入れて、ショッピングモールで「記念日のお花」(花キューピット)などとして販売したい。海外からレア商品を仕入れてネットで販売したい。若い人向けに、モダンな和装小物を自分で作り、販売したい。賃貸で場所を借り、心のケアをする心理カウンセラーをやりたい。起業のアイディアを持って、いろいろな方が創業支援の窓口に来られます。これらの方々の最も多い相談ごとは、どのように売っていったら(販路開拓)よいのだろうか、です。次に多いのは、会計のことがわからなくて、不安ということです。すなわち、売上と利益、費用との関係が理解できず、事業しても赤字になってお金が足りなくなるのではないかと。

理解できる言葉で考える

経営のことを考える上で、三つのキーワードをあまり厳密な違いに囚われないことが大切です。同じことを言っているんだ、と。限界利益という言葉がなじめなければ、粗利として置き換える。乱暴な言い方をすれば、創業したての時は、それでいいと思っています。まず自分が理解できる言葉で、考えること。このことが重要です。

最初のステップとして、事業に必要となる費用を固定費と変動費に分けてみる。そうすると収支トントンの売上がいくらなのかを理解することができるようになります。次に、将来のため必要となる利益を出するには、さらに売上はどのくらい必要かを考える。必要売上があまりにも大きい場合は、費用(固定費、変動費)を小さくならないか検討する。こんな順序で行います。要は、シンプルに簡単に考えましょう、ということです。あまり難しく考えない。これが、これから創業する方には必要なことです。そうすれば、一歩前に踏み出すことができます。