商品化をめざし、つなげるのは人

Tさんの社内ベンチャー

最近IoTの活用で、セットで語られる技術・商品にスマートグラスがあります。ウエラブル端末とも呼ばれます。今回は技術的なキーワードの内容を正しく理解し、整理してみたいと思います。という思いに至ったのは、先日、創業者支援でスマートグラスの開発について相談を受けたからです。その方Tさんは、社内ベンチャーの新規事業として、スマートグラスの開発・商品化を考えています。

 

スマートグラス

通常、工場で働く作業者は、操作手順書(マニュアル)に従って設備や機械の操作をします。ベテランになれば、マニュアルを見なくても作業は出来ますが、経験の浅い作業者は、手元にマニュアルを置き、ときおり確認しながら作業を行うものです。Tさんの開発しようとしているスマートグラスはマニュアルを動画でAR技術を使ってスマートグラスに表示させ、音声のガイドも付け、ハンドフリーで作業を可能にして工場の生産性を向上させようというものです。IoT対応商品として商品化したいので、スマートグラスのテンプル付近に埋め込んだセンサーからデータを収集し、分析して作業員にフイードバックする。その分析にはAIを使いたいとも話しをしていました。

 

技術的キーワードの整理

まずスマートグラスとは、おさらいです。スマートグラスのグラスはサングラスのグラス。スマートは賢いという意味です。つまり賢いメガネのことです。スマートグラスは、GPS(位置情報)やさまざまなセンサー、カメラ、マイクなどを搭載してインターネットにもつながるので、スマホのように、いろいろなことが出来る賢いサングラスなのです。次に、AR(拡張現実)です。ARとは、「拡張」という言葉が指すとおり、現実の世界で人が見える情報に、別の情報を加え、現実を拡張表現する技術やその手法のことです。肉眼で見える視界にさまざまな情報を重ねて映していくもの。例えば、街を歩いているときに、スマートグラスに目的地を声で伝えると、目の前の実際の風景に重なるようにして地図や方向指示が表示されてナビしてくれる。一方、良き似た言葉にVR(仮想現実)があります。VRとは、コンピュータ上に人口的な環境を作り出し、あたかもそこにいるかの様な感覚を体験できる技術です。

 

技術の進化に付いていくために

IoTの技術と関連し、スマートグラスやARの技術もすごく進化しています。これまで、一般的なARはカメラで撮影した画像内にAR画像を表示するため、スマートグラスでARを活用する際、装着者は「ARが表示された対象物の画像」と「実際の対象物」の両方を見比べなければならず、利用する上で不便でした。それが、AR画像のみを、装着者の視界にすぐさまピタリと表示させることが可能になってきているようです。今後Tさんとは、いかに差別化した、付加価値の大きいIoT対応商品の開発を目指し、相談対応していくことになります。いろいろな人の知恵、企業の知恵を借りないと、実現が難しいのがIoT。つなげるのは人。私の一つの役割だと思っています。