他動詞的言葉の使い方

不寛容な社会

昨晩のNHKスペシャルは「不寛容社会」。ちょっとした言葉尻や表現をとらえて、インターネットやSNSでバッシングしたり、炎上させたり。相容れない主張がエスカレートし、対立構造が先鋭化する社会に息苦しさを感じる不寛容な社会。この背景には、スマホの普及やTwitter等のSNS利用者の増大という社会の変化があると。

 

いまどきの気になる言葉

注意しようとか、ネットで攻めようとか決して思っていませんが、気になる言葉づかい、あります。少し前は、コンビニ、バイト言葉としての「よろしかったでしょうか」「お弁当のほう、温めますか」などがありました。最近では若い人だけでなく、過去若かった人までが普通に使う言葉、私は気になります。「私のおかあさん・・・」、「いっこ年下」、「やばい!」。これらは「私の母は・・・」、「一歳年下」、「すごい!」と言いますが、どうでしょうか。

 

不適切な日本語

梶原しげる氏は『不適切な日本語』の中で気になる言葉をいろいろ取り上げ、書いています。下記のいまどきの若い人が使っている三つの言葉、著者の気になる理由に同感するところ多々あります。

・「大丈夫です」を安易に使っていないか。

新しい使い方として、上品な断りの言葉として使われている。そうであるならば、「結構です」「十分です」「遠慮します」「間に合っています」などと言うべき。やはりおかしいと。

・「奥が深いですね」のどこが怪しいのか。

「よく分からないないな」、真意はその話題パスで願います。これもやわらかい拒絶を表す若者言葉だと。

・「そうなんですね」に感情はこもっているのか。

無感動で話しを受け流し、話が展開していかない言葉。相手の話しの内容に驚きの感情をこめた「そうなんですか?」の共感のメッセージをと。

 

自動詞的表現と他動詞的表現

客の図々しい言い分をどう考えるか、の章で参考になる言葉の使い方の事例が紹介されています。言葉の「自動詞的表現」と「他動詞的表現」の違いです。ある居酒屋で40台のおあばさんたちの女子会。「お兄さーん! グラス割れちゃった、テーブルの上汚れちゃったわ!」。自分で割っておいて、他人ごとのように言う言葉つかい。聞いていて図々しい言い方! これを誰の(主語)行為かを問わない自動詞的表現というようです。他方、割ったのは誰の行為かを問うのが他動詞的表現。電車に乗ると、発車前、必ず「扉が閉まります!」のアナウンスがあります。このアナウンスの表現を他動詞的表現「扉を閉めます!」に変えた大阪モノレールは、定時運行が大きく改善されたと。企業経営においても、「売上が減少した」のではなく、経営者は「売上を減少させた」と行為の主語を明確にすることによって、責任の所在をはっきりさせ、なすべきことをする。気づかされた言葉の使い方です。