名門校の「らしさ」とは?

我が母校

歴史の古さをもって伝統ある学校とするならば、私の母校福井県立藤島高校は、伝統校で

す。設立年は福井藩校明道館開校の安政2年(1855年)に遡るほど、古い歴史を有しています。かつ、これまで県内トップを維持している大学進学校でもあります。では伝統あ

る学校で有名進学校は、名門校ともいえるのでしょうか。

 

名門校の「らしさ」

いい味噌や醤油を造る昔ながらの蔵元には、「家付酵母」が棲み着いているという。長い年月をかけてそこに棲み着き、味噌や醤油にそこでしか再現できない独特の「風味」を加える。同じ材料、同じ製法で造っても、他の蔵元では同じ味は出せないのだそうだ。学校にも似たところがある。生徒は毎年入れ替わるし、当然一人ひとり違うのだが、それでも同じ学校の生徒には共通する「らしさ」が宿る。特に個性的な「らしさ」を醸し出す学校を、人々は「名門校」と呼ぶ。『名門高とは何か?』の中で、著者おおたとしまさ氏はこのように書いています。

 

取り上げられた名門校

下記の学校は、著書で紹介された名門校です。ほとんどが、東大理Ⅲを頂点とする有名大学や医学部へ入学するトップクラスの進学校ですが、必ずしも、有名進学校=名門校ではないとしています。確かに著書からは、進学率だけではない名門校の「らしさ」、自由と自律、質実剛健、他者への思いやり(For Others)、バンカラなどが伝わってきます。

1.旧制中学からの系譜

  ・開成(東京都・私立)

  ・麻布(東京都・私立)

  ・浦和(埼玉県・県立)

  ・済々黌(熊本県・県立)

2.藩校からの系譜

  ・修猷館(福岡県・県立)

  ・鶴丸(鹿児島県・県立)

  ・修道(広島県・私立)

3.女学校からの系譜  

  ・女子学院(東京都・私立)

  ・雙葉(東京都・私立)

  ・神戸女学院(兵庫県・私立)

  ・浦和第一女子(埼玉県・県立) 

4.専門学校・師範学校からの系譜

  ・慶應義塾<普通部・高等学校>(神奈川県・私立)

  ・筑波大附属駒場(東京都・国立)

  ・お茶の水女子大学附属(東京都・国立)

  ・東京学芸大学附属(東京都・国立)

5.大正・昭和初期生まれの学校 

  ・武蔵(東京都・私立)

  ・桜蔭(東京都・私立)

  ・東大寺(奈良県・私立)

  ・灘(兵庫県・私立)

6.戦後生まれの星

  ・栄光学園(神奈川県・私立)

  ・ラ・サール(鹿児島県・私立)

  ・駒場東邦(東京都・私立)

  ・聖光学院(神奈川県・私立)

  ・渋幕(千葉県・私立)

  ・西大和(奈良県・私立)

7.学校改革という決断

  ・海城(東京都・私立)

  ・豊島岡(東京都・私立)

  ・鴎友(東京都・私立)

  ・堀川(京都府・市立) 

 

強く記憶に残っている光景

蔵元にすみ着いた家付き酵母のように、我が母校が醸し出す「らしさ」とは何だろうか。「らしさ」を求めて高校時代の記憶を辿れば、一つの光景を想い出します。運動会の前夜祭。旧制高校の校歌や寮歌をバンカラ風に歌っていた先輩たち。その姿を憧れの眼差しで見ていた高校1年の私。先輩たちは、夫々、有名大学に進学していった。私も先輩たちの後を追うように希望の大学に入学した。私の記憶に残る光景は、まさしく我が母校の先輩たちが醸し出した母校の「らしさ」なのでしょう。福井県立藤島高校に入学し、母校の「らしさ」に影響を受け、今の私があることは間違いありません。『名門高とは何か?』(おおたとしまさ著)には名門校として名を連ねていないけれども、私の

心の中では名門校です。