省察力への気づき

『福井県の学力・体力が・・・の秘密』

福井県が学力・体力ともに全国で1位又は2位というトップクラスにある秘密を大阪大学のプロジェクトチームが解き明かし、2年前に出版された本があります。『福井県の学力・体力がトップクラスの秘密』(志水宏吉+前馬優策編著)です。「鍛える文化」「あたりまえのことをまじめにやる」「群れる力」。この3つが福井県の学力・体力がトップクラスの秘密としています。まじめな先生に鍛えられる生徒。素直にあたりまえのことをまじめにやり、集団の一員として適切に振る舞える群れる力をつける生徒。そして加えて、家庭と地域が学校に協力する環境。

 

福井大学教職大学院の取り組み

プロジェクトチームは、さらにもう一つ付け加えるとしたら、地元福井大学教育学部の存在と言っています。福井県の先生の最終学歴は、教員養成系学科を持つ福井大学教員学部が多く、全国平均を大きく上回っている。大学進学の時点から教職を志望し、そのまま教師になるケースが多い。そして近年では、院生と現職教師がともに一緒に学び、「学び続ける教師」を創る教員養成を目的とした福井大学教職大学院の取り組みが注目されていると。

 

省察力

本の著者たちは、福井大学教職大学院で学び、教師としての力量を深めていく院生・現職教師にインタビューをしています。インタビューに答える院生・現職教師は「省察力」という言葉をよく発すると。この省察力は、教師の力の中核として考えられている言葉と捉えているそうです。毎日の教育実践を記録としてまとめ、その時々で振り返ることで、自分自身の実践を見つめ直し、現場での実践力を見つめ直す。

 

教師と創業マネージャー

4月から月5日、ふくい産業支援センターで創業マネージャーとして、創業を考えている方のいろいろな相談にアドバイスしています。相談に訪れる方は、ぼんやりと何か事業をやりたいと思っている方から、かなり詳細に事業内容を固めて最終的な創業への判断に背中を押して欲しいと思っている方まで、幅広い相談対応があります。このような創業マネージャーとしてアドバイスの実践をやりながら思ったことは、前述した「省察力」の必要性です。このアドバイスで良かったのだろうか。実践を記録としてまとめ、その時々で振り返ることで、自分自身の実践を見つめ直し、現場での実践力を深めていく。相手は違えど、教師も創業マネージャーも「省察力」は自分の力量を深堀する力になるんだと気づかされた本です。