IT利活用が成功する二つの前提条件

情報共有

今、ITコーディネータ(ITC)として二つの会社からIT利活用の相談を受けています。1社目は、印刷会社。情報を共有して営業力を強化し、ネットマーケティングにも本腰を入れ売り上げを伸ばしたい。印刷会社のIT利活用の依頼内容です。2社目は、建設会社です。情報共有を推進し、工事原価管理を徹底してコスト削減を図り、利益率を向上したい。建設会社のIT利活用の依頼内容です。

 

コンピテンシーへの無関心

二つの会社に共通しているのは、情報共有のためのIT利活用です。印刷会社の社長の期待としては、営業実績を上げている営業マンの働きぶりや営業スキル・技能、知識(いわゆるコンピテンシー)を各営業マンに情報共有し、営業部隊の成績の底上げを図ること。しかし、営業会議で営業実績の上がっている営業マンのコンピテンシーには他の営業マンはあまり興味を示さない、とのことです。

 

ITの使用率

一方J建設会社の社長の期待としては、社員全員に工事原価をグループウエア「サイボーズoffice」で情報共有し、先手先手の対策を打ち、原価管理を徹底してコスト削減を行い利益を出したい。しかし導入して7年になるグループウエア「サイボーズoffice」を使っているのは、社員30人中5~6人程度、という現状です。

 

3つのル

ITの利活用には、「ロール」「ルール」「ツール」という3つのルが統合的に連携していることが重要です。ロールとは業務を遂行するための社員が果たすべきべき役割と社員の意識、モチベーション。ルールとは組織がパフォーマンスを上げるための業務のルールやプロセス。そして二つのルが整備されて、ツールとしてITをどのように使ったらよいのかを考える。これま私が関わってきた中小企業のIT利活用についての相談の多くは、ツールとしてのIT利活用のみに関心を持ち、他のルが置き去りにされています。今回の2社も例外ではありません。ITCの支援は、ロールとルールを整備し、その後でツールの使い方を考える、です。