人がつながらないIoT社会は?

ITCの多くのつながり

「IoT新時代におけるITコーディネータ(ITC)のエボリューション」との副題がついた今年のITCカンファレンス2015。今年から場所を東京プリンスホテルからベルサール新宿グランドに変え、開催されました。今年のカンファレンスのキーワードは”つながる”です。モノがつながる、ITCとITCがつながる、ITCのコミュニティどうしがつながる、ITCやITCコミュニティがITコーディネータ協会とつながる、ITCやITCコミュニティが社会とつながる。多くのつながりがあります。多くのつながりをとおして、ITCはどうあるべきか、ITCのエボリューションを考えようということです。いくつかの講演やパネルディスカッションをとおして、ネット社会における人のつながり方を考えてみたいと思います。(*ITCコミュニティとはITCが都道府県で組織している団体)


モノに対する対価からサービスに対する対価へ

ドラムタイプの洗濯機(NA-VX8500L-W)178,000円が39,800円。6ドア冷蔵庫(NR-F560PV-T )164,000円が29,800円。なんと(AC-224FD-W)9畳用インバータエアコン237,600円が19,800円。どこかの家電量販店の出血特価ではありません。製造業の製造コストが劇的に下がり、販売価格も劇的に安くなるという話しでもありません。いつでもどこでも、このような考えられない価格で家電が買える日が、そんなに遠くないという話しです。実はこの話しには裏があります。これまで私たちは、衣類をきれいにしてくれる洗濯機というモノ、食べ物を冷やして保存してくれる冷蔵庫というモノ、暑い日寒い日、快適に過ごせる温度に調節してくれるエアコンというモノをモノの対価で

買っていました。しかし、近い将来、衣類をきれいにしてくれるサービス、食べ物を冷やして保存してくれるサービス、快適に過ごせる温度に調節してくれるサービスに対しての対価にお金を払うようになるということです。サービスを提供するモノの価格は劇的に安くても、モノを買った後は、モノが提供するサービスを受けたびに、サービス料を払い続けることになります。


IoTとは

例えば、冷蔵庫は1日あたり120円、洗濯機は使い切りの洗剤パック90円、エアコンは1時間あたり節電モードで17円とか、いわゆるランニングコストが発生するということです。このような仕組みはIoT(Innternet Of Thing)という、モノがインターネットに繋がっていることで実現できます。ということは、劇的に安く買うことができた家電はインターネットにつなげっていなければ、電源も入らず、使えないということになります。不便に思う方は多いでしょう。だが一方、これらのインターネットにつながった家電(IoT対応家電)には、どのような使い方をしたかのデータを解析して家電をコントロールする機能があり、私たちは無駄のない最適な使い方ができるようになるのです。IoT製品とは、モノとしてのハードウエアとソフトウエアに外部からのデータを随時取り込む機能があり、モノがシステム化され、あたかも人のような振舞いをするからです。


Face To Faceは基本

インターネット社会はいろいろな情報が瞬時につながります。そしてこれからはモノもインターネットにつながる時代です。では人はどのようにつながればよいのだろうか。2日目のパネルディスカッション「ITCコミュニティの可能性」のなかで、あるパネラーが言っていました。「もっとITコーディネータ協会の方は地方に足を運んで、私たちと会話しましょうよ。人とつながるには、Face To Faceが基本です。ネットはあくまでつながりを補完するものです」と。1日目のカンファレンス後の交流会には、200名を超えるITCが参加していました。北は北海道から南は沖縄まで、交通費をかけてカンファレンスや交流会に参加するのはなぜでしょうか。ここに人と人とのつながり方の答えがあります。昨年の交流会で名刺交換した釧路のITC、このときのつながりがご縁で、鯖江市の情報統括官が行政データのオープン化の取り組みを釧路市で講演することになりました。また、福井と函館で開催する「IT経営カンファレンス」には、相互にITCが参加し、北海道と福井のコミュニティがつながることになりました。人は足を運んで、Face To Faceの会話をとおしてつながる。モノだけつながっても、人がつながらないネット社会はつまんないですね。