ビジネスマンの大きな力、文書作成能力

実務文章の書き方

今日は仕事で必要となる実務文章の書き方についてです。とくにわかりやすい文章はどのようなことに留意して書いたらよいのだろうか。過去の私のブログ文章を事例にして、どこをどんな風に直したら、もっとわかりやすい、読みやすい文になるのか考えてみます。1986年に初版された本ですが、いまでも実務文章の書き方の参考本として評価の高い『コミュニケーション技術 実用的文章の書き方』(篠田義明著)を参考にしました。


ワンワード/ワンミーニング

単語の選択はわかりやすい実務文章を書くためには重要です。正確に事実を伝える実用文においては、どのような解釈も出来るあいまいな用語は使わないこと。これをワンワード/ワンミーニング(One Word/One Meaning)と言います。あいまいな名詞、あいまいな動詞や形容詞、副詞を使わない。代用詞の使い方に注意する。余計語(行う)は極力使わない。

<事例1>動詞「見られる」、「見ると」の意味があいまい。

Before:下記のように中小企業を規模別に3つに分類し、分類ごとに見られる経営者のタイプとマイナンバーの状況を説明しています。そして、この状況を見ると、企業規模と比較して従業員のマイナンバーの取扱いが複雑になる一方、従業員の中で専門的に対応できる人材を抱えている中規模中小企業は、組織的・人的安全管理措置や物理的・技術的安全管理措置もしやすいため、対応はスムーズである可能性が比較的高いと言えます。

After:下記のように中小企業を規模別に3つに分類し、分類ごとに異なる経営者のタイプとマイナンバーの状況を説明しています。そして、この状況を考慮すると、企業規模と比較して従業員のマイナンバーの取扱いが複雑になる一方、従業員の中で専門的に対応できる人材を抱えている中規模中小企業は、組織的・人的安全管理措置や物理的・技術的安全管理措置もしやすいため、対応はスムーズである可能性が比較的高いと言えます。

<事例2>代用詞「このこと」が指すものが不明。「行う」は極力使わない。

Before:国民の間に認知が低いマイナンバー制度。通知カードと個人番号カードはどこが違うの?このことだけでも知らない人が多い現状では、消費税の軽減を個人番号カードを活用して行うことを断念せざるをえなくなったのも当然とも言えます。

After:国民の間に認知が低いマイナンバー制度。通知カードと個人番号カードはどこが違うの?二つのカードの違いだけでも知らない人が多い現状では、消費税の軽減を個人番号カードを活用することを断念せざるをえなくなったのも当然とも言えます。


ワンセンテンス/ワンアイディア

一つの文は、一つのまとまった考えを表現していなければいけません。これがワンセンテンス/ワンアイディア(One Sentence/One Idea)の意味合いです。そして、読みやすい文章は長さが大切です。読みやすい実用文は短文(40語以内)であって、文と文とのつながりが有機的で調和していること。その他大事なことは、受動態を多用しないこと、縁語接近・長遠短接で文章を書くことです。特に私がいつも留意していることは、縁語接近・長遠短接です。縁語接近・長遠短接とは、修飾する言葉と修飾される言葉を明確にする、主語と動詞は近づけることです。また書き手の教養の有無がわかる語句の重複も避けたいものです。

<事例>「しかし遠因は、」の「遠因」がどの言葉を修飾するのか不明

Before:会社の看板が外れ、役職で自己紹介できなくなる定年後。再就職は言うに及ばず、地域の集まりや、趣味の習い事で会う人との交流ができず、引きこもりになってしまう人が多いようです。引きこもりになる一つの原因として、地域や趣味の習いごと等で出会う人と無駄話ができないことがあります。しかし遠因は、組織の論理で従順さを装って従ってくれた人、その人たちだけとの交流の場であった長い企業内人生にあると言えます。

After:会社の看板が外れ、役職で自己紹介できなくなる定年後。再就職は言うに及ばず、地域の集まりや、趣味の習い事で会う人との交流ができず、引きこもりになってしまう人が多いようです。引きこもりになる一つの原因として、地域や趣味の習いごと等で出会う人と無駄話ができないことがあります。しかし遠因は、長い企業内人生にあると言えます。企業内では、組織の論理で従順さを装って従ってくれた人、その人たちだけとの交流の場であったからです。


ワンパラグラフ/ワントピック

私がブログを書くときは、書きたい中心テーマを4つのパラグラフに分けます。一つ一つのパラグラフには、一つのトピック(話題)だけを盛り込むように心がけています。これをワンパラグラフ/ワントピック(One Paragraph/One Topic)と言います。そして各パラグラフの内容が読み手に上手く伝わるように、文の配列を考えなければいけません。読み手に上手く伝わる分の配列の型がいくつかあります。①直列型、②並列型、③分析直列型、④分析並列型です。

<事例>分析直列型のパラグラフ

Before:人の行動原理を説き明かしていく行動分析学という学問があります。「ABCモデル」と呼ばれています。Aは“Antecedents”=誘発要因、B“Behavior”=行動、Cは“Consequences”=行動結果の意味です。すなわち、人の行動には、何らかのきっかけ、すなわち誘発要因がある(A)。そのきっかけで行動が引き起こされ(B)、行動の成り行き(C)によって、再び同じ行動が将来生起するかどうか決定されていくというものです。このモデルに従えば、やっても無駄と思えばその行動は少なくなる。結果が自分にとってメリットのあるものであれば、人は行動を繰り返す、ということになります。

After:人の行動原理を説き明かしていく行動分析学という学問があります。「ABCモデル」と呼ばれています。Aは“Antecedents”=誘発要因、B“Behavior”=行動、Cは“Consequences”=行動結果の意味です。すなわち、人は何らかのきっかけ、誘発要因(A)で行動を起こします。行動が引き起こされ(B)と行動の成り行き、結果(C)が現れます。この結果により、再び同じ行動が将来生起するかどうかが決定されていくというものです。このモデルに従えば、やっても無駄と思えばその行動は少なくなる。結果が自分にとってメリットのあるものであれば、人は行動を繰り返す、ということになります。

 

ワンワード/ワンミーニング、ワンセンテンス/ワンアイディア、ワンパラグラフ/ワントピックを常に意識しながら、次回もまたブログを書きます。