上司の評価基準がわかりやすいほど・・・

システム開発の形態

お客様から依頼を受け、システムを開発する場合、お客様と取り交わす契約の形態には大きくわけて二つがあります。請負型と委任型です。請負契約は、受注者がシステムの完成に責任を持ち、成果物を発注者に引き渡すことを約束する契約です(民法632条)。一方、委任契約は、発注者がシステム開発の役務提供を行うことを受注者に委託し、受注者がそれを受諾することにより成立する契約です(民法第643条)。請負契約の場合の受注金額は、通常、受注側の見積金額と発注側の予算との兼ね合いで決まります。見積金額は工数(人月)と単金(月)の掛算であり、単金は担当する技術者(SEやプログラマー)のスキルと人件費によって決まります。委託型の場合の契約金額は一人当たりの単金(月)となりますが、請負型と同様、受注側から提示される単金は、担当する技術者(SEやプログラマー)のスキルと人件費によって決まります。


評価基準

多くの会社では、社員の昇給金額や夏・冬の賞与金額を決めるとき、金額のベースとなる評価・査定を行います。評価・査定には、一般的には業績としての物差しとして、売上、単金、生産性、目標の達成度等を、行動・態度の物差しとして、確実性、責任感、勤務態度、積極性、協調性、意欲、意識、リーダーシップ等を用います。システム開発を行っている私の会社では、契約形態として委託型が多いため、業績の物差しとしては単金を、行動・態度の物差し

としてはリーダーシップ、勤務態度、意欲、意識を使っています。


Googleでの社員分析の結果は?

「IT企業のGoogleが、自社の社員を分析した結果、驚くべきことがわかった。リーダーとして成功する人物の条件を求めた所、学歴や知能指数(IQ)といった、一般に想像されるようなところは一つもなく、実は”行動や反応を予測しやすい人がリーダーとして成功しやすい”ということが発見されたのだ。・・・プログラマーはあらゆる問題をプログラム的に解決したがる。それは人事考課についても例外でなかった」。(『最速の仕事術はプログラマーが知っている』清水亮著より)


単金という物差し

7月に実施した、賞与の評価について社員一人一人と行った話し合いの中で、一人のある優秀なプログラマーがこんなことを言いました。「評価基準は完全ではないとしても、ころころ変えないでください。変えると何を目標に頑張ればよいのか、わからなくなる。プログラマーは効率的に、楽をして物差しの高い数値を出す術を知っていますから」と。そして「行動した結果で評価して欲しい。意識や考え方は成果との因果関係があるとは思えない」。この社員の話しを聞いたとき、プログラマーはプログラム的に解決したがる、との意味が現実的にクリアになった思いでした。ではプログラマーとは。上記の本の著者清水亮氏はこんな風に書いています。「コンピュータを自在に操るプログラマーにとって、コンピュータの進化についていけないことは死を意味する。・・・プログラマーは効率を最優先する。高速に仕事を終えることが、プログラマーにとって最大の報酬だ。そしてプログラマーは自ら考えた”手抜き”の方法を、喜んでほかのプログラマーと共有する。それを繰り返すことで、我々プログラマーは進化してきた」。経営者でもある著者、経営にも役立つ内容が書かれた面白い本です。上司の評価基準がわかりやすいほど、働くモチベーションは上がる。Googleから教えてもらいました。