私にとっての2枚目の名刺

サラリーマンの生きがいはどこに?

人間に平均寿命があるように、企業にも平均寿命があります。23年だそうです。サラリーマンにとって考えさせられる数字です。終身雇用や年功序列制度が崩れかかったきた現在、会社は社員の人生に責任を負えなくなり、それに伴い、社員の会社に対する帰属意識も薄れてきました。会社に勤務して、やりがい、生きがいを感じられない。会社を辞めてしまうには、まだ生活不安があってちょっと勇気が足りない。このような世の中の変化に対応し、最近では、会社員として会社勤めを続けながら、仕事以外の時間で生きがいや楽しみを見出す人が増えてきているようです。仲間とネットのコミュニティを立ち上げたり、アーティスト活動をしたり、ボランティア活動を行ったりったり、いわゆる「2枚目の名刺」を持って活動している人です。


パラレルキャリア

この「2枚目の名刺」を持つ生き方は、パラレルキャリアとも呼ばれ、十数年前に新しいライフスタイルとしてドラッカーによって予言されていました。いきなり独立・起業という選択肢を選ばず、今いる場所から自分の夢をスモールスタートさせ、やりたいことを達成させていく。一橋大学イノベーション研究センター教授で「日本元気塾」塾長でもある米倉誠一郎さん。著書『2枚目の名刺 未来を変える働き方』で、新しい働き方を提唱しています。会社に勤務していて、やりがい、生きがいを感じられない。会社を辞めてしまうには、まだ生活不安があってちょっと勇気が足りない。だったら、まず「2枚目の名刺」を持つというチョイスをしよう。そして2枚目の名刺で、NPOでの活動、週末起業、副業など自分の好きな分野で活動してみようと。「2枚目の名刺を持って外の世界に出てみると、新しい靴を履いたような喜びがある。不思議な人脈が広がり、思わぬ困難にもぶつかるかもしれない。でも、すべては自分の選択なのだから知恵が湧く。えいやー、と自分でチョイスすることがなにしろ重要なのだ」。


幸運の女神に後ろ髪はない

米倉教授は著書の中でこのようなことも書いています。

「2010年に、ノーベル化学賞を受賞した根岸英一教授。その根岸教授が1996年に発表したリポート、『発見の条件』に興味深いことが記されている。10項目にわたる、発見のための条件が書かれているのだが、その1番目の項目がセレンディピティだった。セレンディピティとは、偶然をとらえて幸運に変える力と解されている。どんなことでも発見すること自体は偶然かもしれないが、その偶然に巡りあう機会があっても、それを活かすかどうか、その対応の仕方が肝心である。 偶然は本来、誰にでも訪れるものだ。しかし、いつも頭のどこかで偶然に会える可能性を考え、見つけようとする気持ちを持って、見つけるための努力をしていないと、それが幸運に変わり得る偶然であると気づくことができない。強い意志と不断の努力がなければ、幸運をもたらしてくれる偶然とは出会えないのである。「幸運の女神に後ろ髪はない」とはよく言ったもので、先回りして前髪を捕まえる気概である。世の中には、合理的には説明できない成功体験はいくらでもある。しかし、一番大事なのは、結局のところ行動したかしないかだ」。


ITコーディネータ協会の理事として

14年前、経済産業省の肝入りで創られた資格、ITコーディネータ(ITC)。この資格認定団体がNPO法人ITコーディネータ協会です。資格認定だけでなく、全国約6,500名のITCのビジネス支援等も積極的に行っています。昨年よりITコーディネータ協会の理事となり、ITCのための施策立案等に関わるようになりました。ITC資格をどのように活かしたらコンサルとして自立できるのか、「2枚目の名刺」としてのITCを会社の本業にどのように活かしていくべきか。これらのことをITコーディネータ協会の施策に反映していくことが、理事としての私の課題です。14年前、ITCという幸運の女神の前髪をつかみました。会社経営をしている私にとってITCは「2枚目の名刺」です。まさに「新しい靴を履いたような喜びがあり、人脈が広がる。自分の選択なのだから知恵が湧く。えいやー、と自分でチョイスすることがなにしろ重要なのだ」を実感しています。これからも本業にも活かせる「2枚目の名刺」、本業が終わったら1枚目の名刺となるITC活動を精力的に行っていこうと考えています。