経営革新は、口で言うほど、簡単ではない・・・

南砺3つ星の宿

石川県と富山県の県境にある医王山。ここを超えた所に「南砺3つ星の宿」を宣言した法林寺温泉があります。昨日は、南砺市に本社がある関連会社の新任役職者研修があり、私も講師の一人として参加しました。なかなか来ることもない南砺市。折角のおりでもあり、源泉かけ流し温泉と評判の、ひなびた温泉宿に宿泊することにしました。日頃は、多くの地元の方が日帰り温泉として利用する法林寺温泉。昨日はゴールデンウイーク中でもあり、県外Noの車が数台、館内の部屋は満室に近い状態でしたが・・・。


あまりにも普通

さすが評判どおり、源泉かけ流しの温泉は、日頃の疲れを癒すには十分過ぎるくらい、身体温まる温泉でした。温泉に入れるのは21時迄です。多分多くの日帰り温泉客で汚れた温泉をこの時間から清掃するのでしょう。宿泊客への便宜はあまり考えてないようで、少々、不満の残るところです。そしてもう一つ残念なのは、山あいにあってひなびた温泉風なのですが、宿全体が醸し出す雰囲気が、あまりにも普通なのです。露天風呂もあるものの、小さな内湯の延長って感じで、夜は満天の星を眺めながら、日中は周囲の自然を眺めながらという施設になっていないのです。


多重請負構造

話代わって、私の会社が属するソフトウエア業界のことです。IT業界の中でもソフトウエア業界は多重請負い構造を持った業界と言われています。ユーザ企業からの発注を受けた大手ITベンダーが1次下請けITベンダーに仕事を委託し、さらに2次、3次とどんどん委託・請負がつながる構造の中で仕事を進めていく。仕事は、仕事を成果物として提供する請負業務、人を役務として提供する派遣業務などがあります。これらの請負業務や派遣業務を行う企業は、ある一定以上の技術を持った社員を保有していれば、既存取引先から安定的な売上を稼ぐことがそんなに困難ではありません。一方、新規にユーザ企業を開拓し、ユーザの要求に的確に応えるITシステムを構築し、運用して成果をあげるまでを行う企業は、SIerと呼ばれます。SIerの仕事は、うまくマネージメント出来れば大きな利益も獲得できますが、資本も人材も必要となり、失敗すれば大きな損失も蒙るリスクも大きいものです。


リスクを取らない経営

昨晩宿泊した法林寺温泉と我が会社、経営形態に似ているところがあるなと思ったものです。今ある資産(源泉かけ流し温泉、経験あるIT技術者)を活かし、ターゲットを既存顧客(近隣の日帰り温泉客、既存取引先)として、安定した売上を稼ぐ。新規に積極的に設備投資・人材投資をし、広報・マーケティングをして新規の県外客を獲得するSIerのようなリスクはとらない。しかし田舎の人口がどんどん減り、近隣の日帰り客も少なくなってくる。新たな取引先が増えず、高度な人材が育たない。わかりながらも、新たな手を打てない、打たない。経営革新というのは、口で言うほど、簡単ではないということです。