攻めのIT経営は経営者の意識しだい

攻めのIT経営

 今年から「攻めのIT経営」中小企業百選が始まります。これまでの経済産業省「中小企業IT経営力大賞」事業の後継事業です。3年間で攻めのIT経営を実践している中小企業100社を選定して表彰し、攻めのIT経営の優れた事例として中小企業に広報していくものです。安倍内閣が推進している施策「日本の『稼ぐ力』を取り戻す」。この施策のキーとなるのが「攻めのIT投資」です。攻めのIT投資で「攻めのIT経営」を実現する。では単なるIT経営ではなく、攻めのIT経営とは何なんでしょうか。既存事業での新商品・新サービス開発や新たな顧客市場への参入、あるいは新規分野での新たな価値創造などをITの利活用によって実現し、顧客獲得や売上・利益の増大を達成することを言います。


IT経営という言葉はいつから? 

 IT経営という言葉がよく使われるようになったのは、平成16年頃からだと思います。この年、IT経営の促進のため、経済産業省はIT経営応援隊を設置 しました。中堅・中小企業が、外部環境の変化に的確に対応した経営改革をITの活用によって実現することを目的としたものでした。また同時に、経営戦略やITの活用実態が優れ、中小企業経営者の目標となるような企業を選出し、成功事例として表彰・公表する「IT経営百選」事業も開始しました。その後、平成19年から昨年まで、「IT経営百選」事業は「中小企業IT経営力大賞」事業として継続してきました。


IT投資に対する社長の反応類型

 IT経営応援隊事業が開始した頃、NPO法人ITコーディネータ協会が編集した『成功したい社長が読むIT経営のススメ』が出版されました。その本の中に、今も十分通用する興味ある話しがあります。それでもITはお嫌いですか?IT活用“やれないモード”自己診断です。ITに対する中小企業の社長の反応(IT活用をやれない理由)を7つに類型化しています。

①わからん!社長!

⇒気になっているが、どこから手をつけてらよいのか、わからん。

②いくら儲かるんだ?社長

⇒ITの投資効果がわからない。

③人がいない!社長

⇒やりたいが、ITのわかる人がいない。

④金がない!社長

⇒高すぎて投資する気にならない。

⑤もう懲りた!社長

⇒過去にはかなりの投資をしたが、うまくいかず懲りた。

⑥もうやることはない!社長I

⇒T投資は十分やってきて、もうやることはない。

⑦うちには関係ない!社長

⇒ITは経営に関係ない、ITは、せいぜい電卓だ。


経営者の意識しだい

 攻めのIT投資が進まない原因の一つは、企業経営者の意識。経済産業省の情報政策課課長が講演で言っています。『成功したい社長が読むIT経営のススメ』で紹介した、10年前のIT導入に対する社長の意識。今必要とされている攻めのIT投資に対する経営者の意識。IT投資に期待する意識は、あまり変わっていないような気がします。IT投資は、導入時だけではありません。ITの経営資効果を出すためには、運用時にもそれなりのコストを見込んでおかなければなりません。新規の投資が出来ない理由の多くは、このコストが馬鹿にならないことがあります。しかし既存の事業が拡大、変化するとこれまでのIT機能が追いついていかなくなります。しかし中小企業の現実を見ると、多くの企業は運用コストで目いっぱいで、新規の投資をする余裕がなく、IT投資を諦めてしまいます。しかし諦めるのは早い、初期投資を抑えて、IT投資効果を見極めながらIT化できるクラウドコンピューティングの利活用が選択肢としてあるのです。企業経営者の前向きで諦めない意識が非常に重要です。まさに攻めのIT投資は経営者の意識しだい・・・。