ビジネスモデルのダイナミクス

便利さを実感、Amazoneの当日配送

 最近、再度、脚光を浴びるようになったビジネスモデル。非常に関心があります。これまでビジネスモデルに関連する書籍を数冊読んできました。先日左足首を骨折し、手術・入院することになり、図らずして持て余すほどの時間を持つことになりました。何に使おうか。パソコンで仕事はしたくない。出来るだけ本読みに使おう。手元には、『ビジネスモデル全史』(三谷宏治著)、『ビジネスモデル・マッピング教本』(松原恭司郎著)、『ビジネスモデル・ジェネレーションワークブック』(今津美樹著)が置いてあります。これらの本は病院からAmazoneで注文したものです。

 

読み物として面白い『ビジネスモデル全史』

 これらの本の中でも、結構分厚い本ですが、一気に読み終わった本は『ビジネスモデル全史』(三谷宏治著)です。近代から現代までの70のビジネスモデルを見開き2ページで紹介した本です。70のビジネスモデルは、第1期として1990年頃までの「近代ビジネスモデルの創世期と変革期」。第2期として2001年までの「世紀末スピードとITによる創造期」。そして第3期として現在までの「リアルを巻き込んだ巨人たちの戦い、小チームの勃興」に分けられています。一攫千金を夢見て起業し、一時成功したが買収された者。消滅していった者。現在まで生き残った者。これらの人々の栄枯盛衰のダイナミックスが描かれています。第1期から第3期の中でも、1994年頃はアメリカ西海岸シリコンバレーを舞台にしたインターネット・ビジネスの勃興期です。その頃シリコンバレーの某企業とビジネスを始めていた私にとっては、懐かしい時代でもあります。

 

懐かしいインターネット・ビジネスの勃興期

 初めてシリコンバレーを訪れたのは、1995年、私が50歳のときです。サンフランシスコ空港に降り立ち、市内からシリコンバレーに向かう電車(カルトレーン)に乗り、取引先のあるメンロパークへ。独りで、初めてのアメリカ、不安でした。某企業と始めたビジネスは、スタンフォード大学の書籍DBを利用したインターネット書籍販売です。いわゆるBtoBネットビジネス。toBのBは日本国内の有力書店です。某企業の日本人社長は、日本でもインターネットビジネスの旗手として、持て囃されました。同業の、今では飛ぶ鳥を落とす勢いのAmazoneは、同じ西海外で1年前に起業したばかりでした。在庫を持たないインターネットの書籍販売ビジネスとして。

 

Amazoneのダイナミクスと顧客提供価値

 その当時すでに、Amazoneは今の原型となるビジネスモデルを構想していました。起業当時は自前の物流倉庫を持っていませんでした。注文を受けた書籍は、在庫を持つパートナー事業者からの配送に依存していたのです。そのため、ネットで注文した書籍が届くのはある一定期間を要していました。その後、AmazoneのCEOペゼスは、積極的に人とITシステム、物流センターに投資をしていきます。赤字を出し続け投資家の批判を浴びます。しかし、生き物のようにダイナミックに変化し、生き残り、Googleも恐れる企業にまで成長を遂げたのです。一方、某企業は2003年頃には消滅しました。その差は、ビジネスモデルの質であり、ビジネスモデルのダイナミクスです。『ビジネスモデル全史』(三谷宏治著)はビジネス書ですが、小説のような読み物としても非常に面白い書籍です。そしてこの本をAmazoneで購入して気づきました。読みたい本は、直ぐにでも欲しいものです。国内に巨大物流センターを持つAmazoneは翌日届きます。これがビジネスの成功者Amazoneが提供する顧客価値だということを。