観光とは光を観ること、顧客の求める光は?

今日の福井テレビ「タイムリーふくい」は、その戦略と継続性は?というテーマで福丼(どん)県プロジェクトを取り上げていました。福井県の井という字の中に ’ を打つと、丼になります。福井県を「福丼県」とし、丼ぶりで知名度を高めて全国に売り出そうというプロジェクトが、民間主導で始まりました。美味しいお米、こしひかりの発祥の地、福井県。そして福井県内には、100年超の歴史を持つソースかつ丼や若狭の豊かな海の幸をふんだんに使った海鮮丼など、全国に誇れる丼が存在します。プロジェクト発足の要件は揃っているように感じます。加えて、香川県が音頭をとり「うどん県」として観光PRしているように、このような取り組みは県などの行政主導で行われることが多いの中、民間が主導してスタートしたのは好感が持てる取り組みです。

 

 福井県の知名度向上対策として、再度、NHKに対しNHK大河ドラマを誘致をすべきである。福井県は歴史の宝庫。幕末の代表的な英傑 松平春嶽、由利公正、横井小南、橋本佐内などを取り上げたドラマを誘致し、ドラマの舞台となる(北の庄城跡など)箱ものを整備すれば、全国から観光客を呼び込むことができる。たまたまネットで見た福井県議会のライブ中継の録画動画。山本文雄議員の質問の要旨です。2002年、隣県石川県の加賀100万石の創始者前田利家とその妻まつを取り上げたNHK大河ドラマ「利家とまつ」、その後の金沢市の経済効果を紹介し、是非、福井県でも、という趣旨の提案です。

 

 良き戦略はストーリーを持つ。誰にどんな顧客価値を提供するのかというコンセプトから始まり、起承転結と展開する論理性に裏付けられた因果関係のストーリー。これをストーリーを持つ戦略だと、『ストーリーとしての競争戦略』の著者 楠木 建さんは言っています。ふたつの福井県観光PRプロジェクトの取り組みを戦略はどうなの?という視点で考えてみると、成功の可否が見えてくるような気がします。

 

 「タイムリーふくい」の中で、戦略はと問われて、福丼県プロジェクト実行委員長の野坂昌之さんは「たいそうな戦略はないが、発想のスタートは大いなるダジャレ。まずはやってみよう!まずは県民が県内の丼を知り、その旨さを発信していく。そうすれば、来春には北陸新幹線が金沢まで開通するので県外からのお客さんもどーんと来ることにつながるでしょう」と。そして観光とは、光を観ることであり、福井県の光である東尋坊や永平寺などの観光地だけでなく、美味しい食べ物や歴史遺産も含め、もっともっと発信していくべきであると。山本県会議員が誘致しようとしているNHK大河ドラマで描かれる歴史上の英傑も、福井県の光とみることもできます。二つの話はともに、県外観光客を増やして地域経済を豊かにし、県民が元気になることを目指しているのでしょう。しかし目指す目標を達成するための戦略にストーリーが見えてこない。戦略の起点となるコンセプトについて言えば、誰にどんな顧客価値を提供するのか。言い換えれば、県外の人(顧客)は福井県が提供してくれるどんな価値に魅力を感じ、来県するのだろうか。県外の人が求める福井県の光とは? もっと、深い洞察が必要なのでは・・・。まずは走り出して戦略を練り上げて欲しい! 応援したい二つの福井県観光PRプロジェクです。