ITの未経験者に必要なスキルとは・・・

昨今のIT業界は旺盛なIT需要により、すごい人手不足です。スマートフォン用のアプリ市場の急速な拡大,、2016年1月から実際の運用が始まることになっているマイナンバー制度、金融機関の大規模なシステム開発等、大量にIT技術者が必要となる大型案件が目白押しとなっているからです。ここ金沢でもこれら東京の人手不足の波が押し寄せ、仕事が途切れることはなく、人さえ確保できれば、売上を大きく伸ばすことができる状況です。そのため、社員を増やそうと中途採用で経験者を募集しようとするのですが、人はほとんど動かず(流動性が小さい)、中小IT企業にはほとんど応募がありません。

 

 しかし、求人票に未経験者可と一言入れると、俄然応募者が出てきます。弊社にも5名の応募がありました。地元有名大学院・大学の中途退学者が応募してきます。筆記試験すると、さすがに優秀で、その中から面接で社会人として、IT技術者として必要な素地を有している人を採用できるのです。最終的に1名の未経験者を採用することにしました。これから業務提携した某社に送り込んで、知識と実践の社内教育をすることになります。

 

 IT業界における受託システム開発は、多重下請け構造になっています。発注者から直接仕事を請け負った元請(大手SIer)が、請けた仕事を切り出して2次請け、3次請け、4次請けと仕事を下ろしていくピラミッド構造。この多重下請け構造は、いろいろな問題を抱えています。多重下請け構造の問題の一つに、「エンジニアが育たない」があります。多重下請け構造によって2次下請け、3次下請け、4次下請けから集められたITエンジニアは分業化されます。末端のITエンジニアには、自分が関わる仕事以外のことは、知らされません。プロジェクト全体像がわからない中で仕事をすることになります。そういう環境で仕事をするITエンジニア(プログラマー)は、詳細設計書をプログラム言語に置き換えるだけの単純な作業しかしない、ということになります。これでは、ITエンジニアとして育たないのです。

 

 通常、新人や未経験者に対する教育は、OS、言語、ネットワーク、データベースなどの一般的な技術知識を教え、プロジェクトに投入して実践の経験をさせるという、早期に「即戦力」となる人材育成を目的に行います。では新人や未経験者にとって、IT技術者として必要な知識、実践経験と同じくらい必要なものとは何なんでしょう。社会人としての振る舞いができるマナー、早くプロジェクトの現場に溶け込めるコミュンケーション能力やビジネス力、自ら学んでいこうという積極的な心構えです。言い換えれば、「あいさつ」や「報・連・相」ができること、議事録などのビジネス文書が書けること、人に伝わる話し方ができること、などです。先日採用内定した未経験者は10月1日から約1年、業務提携している会社で社内教育を受けながら即戦力となる人材になってもらいます。初日には弊社で私がこれらのビジネススキルやヒューマンスキルを教える予定です。この土台をしっかりし、IT業界に必要な人材となるよう願っているところです。