どんな提案をしてくれるのかな?

提案するための地道な努力がなければ、ユーザ企業は振り向かない。私のご支援しているユーザ企業の経営者はこう言います。「こちらから声を掛けないと、提案してくれない。弊社にもっと来て、弊社をもっと知って欲しい。そして弊社に合った積極的なシステムの提案をして欲しい」と。ユーザ企業の現状と課題、業界環境、最新のシステム動向など、常日頃から情報収集しつつ、ことあるごとにユーザ企業に行き「私たちはこう思います」と経営者と会話をし、意志を示し続けることが大事です。このような行動がユーザ企業の信頼を勝ち取るこになるのです。信頼関係が構築できれば、提案は素直に聞いてもらえます。

 

 今、ふくい産業支援センターにおいて「SE・営業のための提案力向上セミナー」を4日間シリーズで開催しています。今年で7年目の人気のセミナーで、県内のITベンダー、SIerから13名が参加しています。2日目、私が行った講義「提案書作成のポイント」というテーマでは、以下のような話をしました。

これまでの提案書のパターンは2種類あり、一つは、自社のシステム、商品本位の提案。自社が持っているシステムサービスや商品を提案し、顧客に選んでもらう提案パターンです。もう一つは、御用聞き提案。顧客のニーズをヒアリングし、顧客のニーズにあったシステムを開発し、提供する提案パターンです。しかし、これからの提案書のパターンは、仮説検証型提案(Why型思考提案)に変えていく必要があります。顧客のニーズの背景にある真のニーズ(Why)を仮説し、提案する新しい提案パターンです。

 

 「人はドリルが欲しい(What)のではない、穴を開けたい(Why)のだ」。この言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。これはニーズについて語られた有名な言葉で、欲しいのは商品ではなく欲求を満たすことであって、商品はその手段であるというものです。システムを作る際にも、同じことがいえます。 「人はシステムが欲しいのではなく、業務をより良くしたいのだ」 といったところでしょうか。つまり、こんな機能が欲しいというお客さまの要求(と思われる発言)は、その機能自体が欲しいわけではなく、その機能が提供している何かの価値が欲しいということでしょう。 これに気付くこと、これが仮説検証型提案(Why型思考提案)が出来るかどうかの境目になります。

 

 クラウドシステム利活用に対するユーザの認識の高まり、守りのITシステムが一巡した市場。今後のユーザニーズは、攻めのITシステムとなっていくでしょう。それに対応するには、それまでのSIerとしての対応ではなく、開発期間の短縮、業務の変化に柔軟な対応、低コスト対応等、システム開発環境は変化せざるを得ない。システム・商品本位の提案、御用聞き提案からの脱却。そのためには、常日頃からユーザ企業やユーザの業界環境にアンテナを張っておく必要があります。攻めのITシステムを受注するには、どんな提案をするばよいのかな? 当セミナーで学んで欲しい。