これからも厳しい、だからこそイノベーション

攻めのIT投資によるイノベーション。そのためのクラウドサービスをどのように活用すればよいのだろうか? 先日、日本マイクロソフト本社(品川)の研修室で行われたクラウドサービス推進機構 IT経営力大賞倶楽部設立総会に会員として参加してきました。政府の中小・小規模企業に対する支援スタンスは、事業革新(イノベーション)を促すことを明確にしています。特に、中小企業の90%を占める小規模企業が事業革新をして元気になることは、成長戦略の重要課題です。総会での小規模企業の「攻めのIT投資」による事業革新の事例には、気づきを得るものがありました。

 

 総会にあわせ、クラウドサービス推進機構では会員向けに「IT経営ジャーナル」を創刊しました。一般向けには、電子本(500円)が発刊されいて、購読できます。推進機構の理事長、松島圭樹さんが「IT経営ジャーナル」創刊号の巻頭言に、「クラウドサービス推進戦略におけるIT経営ジャーナルの役割」を書いています。

 

 【クラウドサービス推進機構のめざすもの】

 日本の中小企業の経営力強化を目指して、IT、とりわけクラウドサービスの効果的な活用の促進が私たちの基本的な使命である。クラウドサービスは中小企業の経営力強化に有効で、中小企業こそ最大の恩恵を享受できるといわれ続けてきたが、なかなか普及していない。その原因として、販売会社がきちんとサポートしない、ユーザーの意識不足、など様々に語られるが、従来のクライアイントサーバー型にかわるエコシステム、いいかえればクラウドサービスでのwin-winの連携の形が見えないことが問題なのである。・・・

 

 【科学的な経営学の振り返り】

 ・・・今年に入って、ウクライナ情勢の変化、中国の東アジア戦略の変更、イラク紛争など、想定外の事態が相次いでしる。超大国が信仰諸国を政治面でリードする時代が終わり、多くの国では政治不安、治安の不安定、テロの脅威が解消しない。国内、そして国家間は、ますます不安定になっており、実際に日本から進出した企業にも被害が及び、海外進出にやいする不安も増大している。このような環境の変化に激変に対して、現在、多くの経営者は、「何もしないことが最大のリスク」、「時間をかけて厳密な意思決定よりも、迅速に意思決定を行い、走りながら考える」、「割り切りが大事」、そして、まず、「やってみなはれ」という。これは、従来の厳密な因果関係付による実証研究を基礎とすつ「科学的」な経営学の有効性を疑わせるものである。・・・

 

 【IT経営における経営学】

 ・・・同じ IT 投資であっても、 経営者が「効果は必然」と考え傍観するのと、経営者自らが「主体的に取り組む」のでは明らか成果は異なる。まさしく、「正しいことをすれば成功する」と考え合理性重視の経営学から、「成功するためにどう行動のが正しいか」と経営者の主体性を重視する実践的経営学への転回が求められている。・・・

 

 『プロセスで解き明かすイノベーション』

(特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 監修)

 『超高速開発が企業システムに革命を起こす』

(一般社団法人ICT経営パートナーズ協会 著)

 ともに最近出版された、中小企業の経営者にイノベーションを迫るインパクトのある書籍です。IT投資なくして企業の成長はない。そのIT投資は、攻めのIT投資であるべき。経営環境の変化に迅速に対応できる情報システム。企業側がシステム開発と運用に係わっていく。使いながら、作っていくクラウドサービス。企業、特に小規模企業ほど事業変革(イノベーション)が必要。イノベーションは、思いつきでなく、イノベーションのためのプロセスが存在する。などなど、これまで大企業に係わることかと思われてきたことが、まさに中小、小規模企業に問われている課題となってきました。これまでも、これからも厳しさは変わらない、中小、小規模企業の経営環境。だからこそ、イノベーション!