戦略とツールとART

「ITコーディネータは、真に経営に役立つIT利活用に向け、経営者の立場に立った助言・支援を行い、企業のIT経営を実現するプロフェッショナルです」。ITコーディネータ資格を認定するITコーディネータ協会が、ITコーディネータを紹介するために使っているフレーズです。全国各地で、ITコーディネータ(ITC)が集まって活動する組織は「届出組織」(又は「コミュニティ」)と呼ばれていますが、福井県では福井県情報化支援協会が届出組織となっています。2か月に一度、会員の勉強会を兼ね、会員が講師となってセミナーを実施する例会を行っています。今月の例会(勉強会)セミナーのテーマは、二つ。「盲目の男たちと象、触れてみよう経営戦略全史のプロローグ」、そしてもう一つは「よろず支援拠点とITCの絡み方」。

 

 「盲目の男たちと象、触れてみよう経営戦略全史のプロローグ」について

 要約ポイント(1)

 経営はセンス。スキルとセンスを混同している。センスとは・・・。野球のイチローは、初めから野球センスがあったのでしょうか? センスとは、言葉では説明できない直感。そして、直感=センス は訓練によって磨かれる。美的センス、運動センス、経営センス、すべて磨かれる。

 要約ポイント(2)

 経営、経営戦略を学ぶには、いろいろな戦略セオリー、歴史を学ぶことしかない。しかし、経営センスを高めるには、これだけでは足りない。「ART」を学ぶ必要がある。経営戦略本や技術書の専門書ばっかり読んでいると、「論語読みの論語知らず」や「ドラッカー読みのドラッカー知らず」の救えない専門バカに。「ART」を学ぶとは、一般教養書も読み、一般教養を身に付けること。

 

 「よろず支援拠点とITCの絡み方」について

 要約ポイント(1)

今年度(平成26年度)から新たに中小企業庁が創設した、小規模事業者向けの支援制度。全国各県に一つ、「よろず支援拠点」が設置され、相談窓口の専門家としてコーディネータを配置し、よろず相談に対応する。お店の売上をもっと上げたい、受注を増やしたい、この商品の販路拡大をしたい、経営の専門家にアドバイスを欲しい、創業を考えている起業の相談がしたい、運転資金を調達して経営を安定っせたい等のよろず相談の中で、圧倒的に多いのは「売上を上げたい」。

 要約ポイント(2)

 中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイトである「ミラサポ」の中に、公的支援施策を検索するページが使い易くなって登場した。「施策マップ」である。支援内容(補助金他)、分野、業種、地域、支援規模(金額)、募集時期などの条件で検索すると、事業者が望む支援施策が見つかる。ITCはこの施策マップを活用して、中小・小規模事業者に対し、情報を提供しながら支援に繋げていって欲しい。

 

 石川県の届出組織である石川県情報化支援協会でも、同様な勉強会セミナーを実施しています。今月28日は、私の担当で「ビジネス競争力強化支援ツール課題解決ツール」というテーマでお話しをします。ITCの「3C分析」をすると、今ITCが置かれている状況は厳しい。ITCが自立してビジネスを出来るようにするためには、中小・中堅企業を支援するための実践的なツールが必要である。このツールを開発する背景です。昨年来、ITコーディネータ協会では、ITCの実践力を高めるためのツールの開発を進めてきました。私は、このツールのレビューワーキングに参加しました。3C分析におけるCustomer(中小企業の現状)は、①金融支援、②雇用維持確保支援、③売上機会拡大支援、④事業承継支援を望んでおり、①コスト削減・効率化、②販売力・顧客開拓力強化、③高付加価値商品・サービス開発④人材確保の課題を認識している。そして専門家には、「経営基盤強化」と「販売力強化」に対する支援力への期待があると。一方Company(ITCの現状)は、バランスのとれたIT化推進力はあるものの、ビジネス機会開拓力が弱く、会計知識や財務診断力の欠如が言われている。ならば、「ビジネス競争力強化支援ツール課題解決ツール」を学んで自分の弱みを克服し、「経営基盤強化」と「販売力強化」に対する支援力への期待に応えようではないか。セミナーでの私のメッセージとしたいと思っています。