人が大きく頑張る要因は内発的モチベーション

最近経験した二つの出来事から、人はどのような要因でやる気を発揮するのか、考えてみたいと思います。

 

 モチベーションを高める企業とは、どういうものでしょうか?人は、どんな仕事や、職場であれば、意欲高く働けるのでしょうか?この問題に、骨太の人材マネジメント論で挑んだのが『熱狂する社員』(デビッド・シロタ著)です。著書では、モチベーションが強い社員を情熱的社員と呼び、この熱狂的社員と企業の業績には強い相関関係が見られると言っています。言い換えれば、企業の業績を上げれば、社員のモチベーションも高まるということでしょう。

 

 「運転手さん、うるさいから私語やめてください!」。先日歯科医に行くため福井駅前から乗った京福バス 鮎川線。バスが発車したとたん、運転手は運転手近くに座った顔見知りの男性とぺちゃくちゃ、ペチャクチャ。少しくらいはいいか、と我慢していましたが、いっこうに止める様子がない。思わず上記の言葉を・・・。バス運行の安全上、運転手には声を掛けないでください。乗客のご迷惑になりますので、大きな声で話しすることはお控えください。運転手から注意されることはあっても、乗客が運転手に注意するのは初めて。ローカルバス、乗客も少なく業績も上がらない。社員(運転手)の仕事に対するモチベーションは低く、モラルも低下しているのだろうか。 

 

 心理学者植木理恵氏は著書で次のように書いています。人間の意欲(やる気)には、大きく分けて2種類ある。一つは、「外発的モチベーション」。つまり、頑張ることで物質的な報酬や評価を得ようとする意味での意欲である。そして、もう一つは「内発的モチベーション」。これは、やっている仕事や遊びの内容自体に、面白さ、充実感、使命感を感じて頑張ろうとする意味での意欲である。人間は一般的に、内発的モチベーションによって動いているときの方が集中力が高く、エラーもおこしにくく、よい結果を出すことがわかっている。

 

 2月末にて家庭の都合で弊社を退職したTさん。新たに採用した社員への引き継ぎ、そして最後の仕事となった県の離職者訓練の「就職状況報告書」の提出。これらの大切な仕事をすごく頑張ってくれました。県の離職者訓練は、訓練受講者の60%以上が3か月後に就職できていれば、就職支援金が訓練実施期間に支給されます。そのため3か月後の「就職状況報告書」の提出は弊社にとっては重要な業務なのです。提出締切最終日までに、6名の就職証明書を確保して仕事を終えたTさんでした。退職日最後まで立派に仕事をやりとげたのは、ご褒美(外発的モチベーション)を私から約束されたためではなく、ただひたすら自分で納得できて気持ちよく終わりたい、という彼女の執念にも近い内的モチベーションだった思います。結果に対してご褒美をあげようと思っています。ご褒美は、特別賞与・・・。