当事者意識はキーワード

日本の大学のあり方も大きく変わろうとしています。平成18年と19年に改正された学校教育法と教育基本法には、「大学での成果を広く社会に提供する」ことを明記されました。これまで大学の責務とされてきた教育と研究に社会貢献が追加されたのです。この大学改革の一つとして、文部科学省は「地(知)の拠点整備事業」を推進しています。当事業は、大学が地域の拠点となり自治体やNPO、地域産業界とも連携しながら大学の知を地域再生・活性化に活用することを目的にしています。事業目的に合致した大学を審査で選定し。1件あたり4500万円の補助金をつけ、5年間にわたり支援するというものです。

 

 先日、NPO法人ドメインリーダーシップ育成センター理事長村本睦戸さんの紹介で「地(知)の拠点整備事業」に採択された某国立大学のH先生とお話しをする機会がありました。私たちITコーディネータが実践活動のバイブルとしているITC-PGL

(ITコーディネータプロセスガイドライン)は、地域の課題を掘り起し、地域志向活動を行うプロセスを考えるのに非常に参考になる、是非、話しを聞かせて欲しい。H先生からの要望でした。

 

 企業においても、地域においても課題を解決しようとする場合、そこに何らかの問題があります。問題が浮き彫りにされると、課題が見えてくるようになります。問題と課題は違います、分けて考えます。例えて言えば、身体に湿疹が出て痒い、これは問題です。この問題の直接的解決策は痒みを抑える薬を塗ることです。しかし根本的解決にはなりません。根本問題にまで掘り下げることにより、真の解決策が見えてきます。この解決策を課題といいます。課題は体質改善です。具体的には、規則正しい生活を行う、食生活を見直し改善する、定期的に運動を行う等が具体的な課題を実現する実行項目となります。

 

 問題から課題へ、どのようなプロセスがあるのか。現状の姿と目指すべき目標とのギャップは「問題」して認識されます。そして大事なことは、当事者が「当事者意識」を持つことによって問題として意識される、ということです。組織で問題が共有化され、 具体的に解決に向けて提起されると、問題の分析が行われます。ここで問題の根本原因を探ります。そして、現在の解決主体で手を打てる範囲内ならば「課題 」として、解決・実現に向け取り組むことになります。この話にH先生は大きく頷いていました。当事者意識、これが欠如したプロジェクトは成功しない。来期(4月以降)の早い時期に、某大学の当事業に関係する教員方に、ITC-PGLを活用した地域課題の解決法を1時間程度講和することになり、初回の話は終わりました。当事者意識は一つのキーワードにしてお話をする予定です。