メタ認知能力を高めるには・・・

今年のNHK大河ドラマの主人公は「黒田官兵衛」。毎週日曜日夜を楽しみにしています。戦略家、天才軍師として豊臣秀吉に仕え、黒田二十四騎を率いて黒田藩の藩主でもあった黒田官兵衛。仕えた主君豊臣秀吉が自分の地位を脅かすのでは、と恐れたほど才気に溢れた彼は、単なる戦略家、軍師だけでなく、交渉術にも優れ、黒田藩を一糸乱れることなくまとめるリーダーシップを備えた人物だったようです。

 

 官兵衛が仕えた豊臣秀吉にとって天下取りのターニングポイントなったのは武器の戦では「中国大お返し」と、交渉の戦であった「清州会議」です。先日、この清州会議を取り上げた番組がNHKで放映されたいました。この中で4人のコメンテーターが秀吉の会議での交渉術について議論していましたが、心理学の視点で植木理恵さんがコメントしていた内容が非常に面白かった。戦国時代も今も、いつの世においても戦略や交渉、リーダーシップに能力を発揮する人には共通の能力があるようです。ではどんな能力なんでしょうか。彼女の著書『脳は平気で嘘をつく』をもとに、どんな能力なのか、探ってみたいと思います。

 

 答えは、メタ認知能力の高い人です。では、どのような人なんでしょうか。一言でいえば、物事を客観視でき、俯瞰的に捉えることができる人。物事を客観視できるためには、集団の多数意見に引っ張られることなく、いわゆる「KY(空気が読めない人)」的発想も必要です。そして俯瞰的に捉えられるためには、従来の枠組みから抜け出した考え方も必要になってきます。下図に9個の点を一筆書きで結ぶ問題、有名な「9点問題」を示しています。この問題の回答のように、結ぶ線を9点のドットの外にはみだして考えてみる、という柔軟な思考が出来れば問題が解けるのです。 


 弊社は今年、創業して13年目に入ります。振返ってみれば、創業から数年続いた赤字の時期、法人税の節税を考えるほど会社業績が伸びていたとき、資金繰りで毎日眠れなかったリーマンショック後の苦しいとき、そして借入金の完済が近づき、資金繰りに余裕が出てくるようになってきた現在と、山あり谷ありの連続でした。これ全て、私の経営者としての能力の結果です。「いい時」「悪いとき」どちらの時にも、「どうして調子がいいのだろう?」、「どうしてうまくいっていないのか?」を分析して教訓として学習する(これを教訓帰納と呼ぶそうです)。著書では、成長を続ける企業のリーダーは、「いい時」を分析し、結果を明確に述べられるメタ認知能力の高い経営者なのだ、と書いています。人の知能には流動性知能と結晶性知能があります。流動性知能とは、新しいことを憶える能力です。これは年とともに、低下します。しかし、経験によって培われた理解、判断能力である結晶性知能は、人のために何かをすることによって生まれる自己肯定感が高まることによって向上するそうです。人間の脳は60歳を過ぎても進化すると言われる所以です。日々、自己肯定感を感じつつ、いいときも悪いときも、教訓帰納を実践し、メタ認知能力を高めていく。これが、企業経営を継続する経営者に課せられた課題だと、植木理恵さんの著書から学びました。