面接は一瞬で決まる?

今年の7月に出版された『やっぱり見た目が9割』(竹内一郎著)。ベストセラーとなった『人は見た目が9割』から8年、著者の竹内さんは書いています。「全ての鍵は見た目(=非言語情報)が握っていた! そう、私たちは、やっぱり見た目の虜なのだ」。メラビアンの法則(通俗的心理学)というのがあります。初対面の人物を認識する割合は、見た目/表情/しぐさ/視線等や声の質/話す速さ/声の大きさ/口調等の非言語情報が93%、言葉そのものの意味/話の内容等の言語情報が7%と言われています。メラビアンの法則では93%、『やっぱり見た目・・・』は9割、見た目、言い換えれば非言語情報はコミュニケーションにとって非常に重要ということです。

 

  この著書の中で、非言語情報がコミュニケーションにとって非常に重要だという話として、民主党政権時の菅元総理の日中首脳会談、野田元総理の米国オバマ大統領との会談との比較を書いています。尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件が起こり、中国の国家主席にきちんと抗議しなくてはならない局面において、菅元総理はずっと相手を目が合わないように、手元の紙を力なく読み上げるばかりだった。抗議の内容は言語情報としては伝えられたが、その話ぶりからはもっとも大切な抗議の意思は伝わらない。一方、野田元総理の側近であり首相補佐官長島昭久氏から「絶対に手元のペーパーを見ないでください。その大きな目で、オバマさんをぐっとにらみつけて」の助言をうけて会談に臨んだ野田元総理。会談中、自分が発言するときも含め、オバマ大統領から終始、目を離さなかった。

 

 弊社では今、離職者のための職業訓練を実施しているところです。訓練のなかでは必ず就職支援のためのビジネスマナーやコミュンケーション等の講義をします。特に強調しているのは、面接のときの第一印象をよくしましょう、です。第一印象は、外見(身だしなみ、表情、態度)、話し方(言葉遣い、話すトーン、声の大きさ、スピード)で決まり、これ全て見た目、非言語情報と言われているものです。面接官は、これらの見た目、非言語情報からあなた方の採用可否を判断しますよ、と伝えています。

 

 「初めは気遣いな人だと思っていましたが、お話しすると、とっても優しいひとですね」。先日、金沢から帰りの電車で久しぶりに会った、88歳になっても仕事に行っているおばあさん。ご主人が亡くなってから長女夫婦と一緒に住んでいて、長女がよくしてくれるようで、幸せそうでした。そのためか、おばあさんの顔はすごくいい顔でした。そんな顔を見ていると私の表情も優しくなっていたのでしょう。人は相手を0.5秒で判断している。そして面接は一瞬で決まる。私もいろいろな場面で実感しています。しかし、電車で久しぶりで会ったおばあさんは、私に対する一瞬の判断を修正してくれました。人は話しをするとわかる。これも真実だと思います。人は賢く、社会ルールを守って生きていくためには、相手を0.5秒で判断する動物的な判断だけでなく、見た目だけで信用しない、社会的な知恵も必要になってきます。でもやっぱり見た目は大事です・・・。