IT化のアプローチが変わる・・・

今ITコーディネータ資格取得のためのケース研修を行っています。このケース研修では、企業のIT経営実現のためのプロセス、ITCプロセスガイドライン(ITC-PGL)の知識と実践力習得を目的としています。ITC-PGLでは①経営戦略⇒②IT企画⇒③IT調達⇒④IT導入⇒⑤ITサービス活用という5つのプロセスによってIT経営を実現しますが、企業のIT化(情報システム化)プロセスは、クラウド時代に入り、大きく変わろうとしています。特にタブレット・スマートフォーン等のモバイル端末を活用した企業のIT化は、従来のIT化とは異なるアプローチで実現されるようになってきました。

 

 金沢市内にある某印刷会社のタブレット・スマートフォーンを活用したIT化を次のようなプロセスで支援をしています。第1回目の支援においては、まず企業の問題点の確認、課題の明確化、到達目標の設定を行うため、SWOT現状分析と現状のビジネスモデルを描いてもらいます。第2回目に入ると、1回目の結果を踏まえ、タブレット・スマートフォーンでの解決法と機器、クラウドサービス、アプリケーションの検討などをしながら、企業の課題解決策を見出し、課題解決策の具体的なアクションプランを作っていきます。最後に、これまでの成果をまとめた形でタブレット・スマートフォン活用のIT企画書を作成します。

 

 クラウドサービス、アプリケーションの検討するための資料として、いろいろな事例を紹介します。社外から営業マンが社内システムのファイルサーバ等の情報にアクセスし、空き時間の有効活用と、業務の迅速化を実現する事例として、「リモートアクセス」(Juniper Networks Secure Access)、「リモートデスクトップ」(Array Desktoirect)。お客様への商品・サービス紹介時、電子的なカタログや動画による効果的なプレゼンテーションを行い、お客様への満足度向上を図る事例として、「カタログ・プレゼン資料の配信」(Handbook)、「カタログ・プレゼン資料の参照」(ラビニティ One、文書管理)。営業情報をリアルタイムに入力・参照可能。営業情報のリアルタイムな共有により、提案力の強化を図る事例として、「SFA/CRM」(Salesforce Mobile)。外出先から見積作成、在庫確認、発注処理等を行うことで、営業業務を迅速に効率的に処理可能。迅速な対応で、お客様満足度を向上させる事例として、「SFA/CRM」(Salesforce Mobile)。そのほか、カタログ共有・プレゼン利用による営業支援の事例、安全な法人向けのタブレットオンラインストレージの事例など。

 

 このように、クラウド時代のIT化はクラウドサービス(アプリケーション)を使うと何が解決するのだろうか、という視点でのアプローチが有効になってきます。従来のIT化プロセスと新しいIT化プロセスをタブレット・スマートフォーンを活用したIT化プロセスで比較すると下記のようになります。アプローチがまったく逆になります。

◆これまでのIT化プロセス

<課題>

個人客への販売を増やしたい

<解決策>

・個人客向けネット販売商品の開発

・ネット販売

<IT活用>

・ホームページのネットショップ開設

・口コミ販売を増やすためFBの活用

◆新しいIT化プロセス

<IT活用>

・モバイルで何が出来るのか、一度試してみよう!

⇒モバイルクレジットカード決済が可能

<解決策>

・即売展示会での個人客への販売

⇒新たな解決策見つかった

<課題>

・個人客の売上増

私が今インストラクターとして教えているITC-PGL、これを学んでITCになる受講生。今後ますます進歩するIT環境の変化に対し、IT経営実現のアプローチを柔軟に対応することも一つの実践力として学んで欲しい、と実感しているところです。