会社が変われるかどうかの分かれ道・・・

ITCの支援対象である中小企業が求めているのは、生き残りをかけた経営革新や事業再生に対する支援である。すなわち、単なるIT導入支援ではなく、収益力向上に向けての現場の改善・改革や、売上向上のためのビジネスモデルの革新等、経営力の強化である。ITCがコンサルティングの実践の場で支援力を発揮するためには、経営者の思いを理解し、中小企業の成熟度に応じて改善や改革の推進を支援できるスキルである。このためには、“ITありき”ではない現場支援ツールが必要である。中小企業の現場の「課題の発見・整理・課題解決を一貫して支援できること」がますます要求されている。これは技法についての机上の知識だけでは不十分で、検討チームのファシリテーションや合意形成力が必須である。ITCが現場で要求されるコンサルティングスキルを、業種ノウハウもセットにして体系化し、ITCの実践ツールとして整備できると多くのITCにとって有益と思われる。以上のようなことを実現するためのITCツールとして、「ビジネス競争力強化ツール」を開発しているが、「課題解決ツール」は「自己診断ツール」で発見・整理された課題をさらに深掘りし、課題解決のための最善の実施計画を策定することを目指している。しかし、果たしてこのツールは以上の目的に対応できるものか?課題解決ツールの実践性・有効性の評価、要改善点の明確化、有効な場合のツールの研修方法の検討等の視点でレビューを行いたい。

 

 ITコーディネータ協会で行われた「ビジネス競争力課題解決ツール」のレビュー会の目的です。私を含め5名で実施したレビュー会、9時30分から17時30分まで会議室に缶詰になりながら、密度の濃い議論を2日間おこないました。次回は9月24日、まとめです。1日のレビュー会が終わると、疲れがどっと出てきますが、一方で良きツールを仲間と一緒に作り上げている充実感も味わうことも出来ます。

 

ちょっとの頑張りが大きな革新へ

~中小企業は日本型経営革新で成長しよう~ 

「経営革新という言葉を聞くと、「自分たちには関係ない」「経営資源の乏しい中小零細企業にはできないことだ」と考える企業が多いと思います。しかし、日々の改善の積み重ねが数年後に大きな革新になる日本型経営革新(漸増型経営革新)で企業を成長させている事例が数多くあります。今回のセミナーは、こうした企業が取り組んでいる小さな改善改革の積み重ねの重要性、改善改革の過程におけるIT・情報の上手な活用に気づいていただき、自社での実践の参考にしていただくことを目的としています」。以上は、10月3日、福井県情報化支援協会が実施する「IT経営カンファレンス2013 in 福井」のテーマと趣旨です。

 

 企業における問題の発生から課題解決のためのアプローチを整理すると、現状の姿と目指すべき姿とのギャップは「問題」して認識されます。しかし、問題は「意識」が無いと認識されません。問題意識は、当事者が「当事者意識」を持つことにより、責任を持って解決に取り組むことになります。組織で問題が共有化され、 具体的に解決に向けて問題の分析が行われます。問題は発生原因や影響の範囲等から具体的に特定され、定義されていきます。そして現在の解決主体(企業全体、関係部門など)で手を打てる範囲ならば「課題」として、解決に向けて取り組むようになります。課題は、大別すると、将来に向けてに向けて目標設定が必要な課題(改革型課題)、現状をもっとより良い状態に改善したり、過去に発生した基準の逸脱やクレーム等の是正が必要な課題(改善型課題)に分けられます。日々問題が発生するのが、企業です。ここからが企業が変われるかどうかの分かれ道となります。問題を当事者として意識するかどうか、課題として解決しようとするかどうか。ちょっと頑張ってみよう、という気持ちがあれば改善・改革は可能なのです。課題解決の方法は準備されています。今、開発を進めているビジネス競争力課題解決ツールです・・・。