逆手にとったキャッチコピーとコンテンツ

お盆も終わり、我が故郷で骨休みした人たちの帰省が始まっています。私の住んでいる福井県福井市、会社のある石川県金沢市、ともに街が大きく変わるキッカケとなりうる工事が進行中です。福井市は2008年完成予定の福井駅西口再開発。金沢市は2015年3月予定の北陸新幹線金沢開業。

　もう少し詳しい内容をホームページから引用し、紹介します。まずは福井駅西口再開発です。「福井駅西口周辺地区は、福井市の中心市街地であり、かつ県都の玄関口として、にぎわいと交流の拠点となるべき地区です。このため、「にぎわい交流拠点」の形成や「公共交通ネットワーク」の充実をコンセプトに、西口再開発ビル、屋根付き広場や西口交通広場を一体的に整備し、平成２８年の完成を目指しています（福井市ホームページより）」。次に北陸新幹線金沢開業です。「北陸新幹線は、東京を起点として長野、上越、富山、金沢、福井等の主要都市を経由し、大阪に至る延長約700kmの路線です。このうち2015年春に開通するのは、現在開通している東京から長野間の先の金沢までの区間です。これにより東京から金沢間は乗り換えの必要がなくなり、移動時間が約1時間20分短縮され、約2時間30分で行き来できるようになります（石川県観光情報ホームページより）」。

　地方自治体は東京都を除き、国の交付金だよりの赤字経営を強いられています。観光客を呼び込み、街の経済を活性化しようといろいろな工夫と仕掛けを行っていますが、とりわけインパクトのあるものは、その街に行ってみたいと思わせるキャッチコピー（キャッチフレーズ）です。全国47都道府県のキャッチフレーズを集めてみました。

・北海道「おみやげに、笑顔を渡そう」

・青森県「行くたび、あたらしい青森」

・岩手県「黄金の國、いわて」

・宮城県「美味（うま）し國伊達な旅」

・秋田県「秋田で元気に！」

・山形県「山の向こうのもうひとつの日本　やまがた」

・福島県「旅すればふるさと　ほっとするふくしま」

・茨城県「いばらき、ここにしかない感動を訪ねて」

・栃木県「やすらぎの栃木路」

・群馬県「心にｸﾞｸﾞっとぐんまわくわく 体験 新発見」

・埼玉県「彩の国」

・千葉県「がんばろう！千葉」

・東京都「らっしゃい東京」

・神奈川県「夢色玉手箱　ときめき神奈川」

・新潟県「うまさぎっしり新潟」

・富山県「パノラマ　キトキト　富山に来られ」

・石川県「ほっと石川」

・福井県「美しくたくましく福井県」

・山梨県「富士の国やまなし　週末は山梨にいます」

・長野県「つらなる　つながる　信州」

・岐阜県「ぎふを旅して日本を元気に！」

・静岡県「ふじのくに」

・愛知県「逢い、知る、愛知」

・三重県「美し国おこし・三重」

・滋賀県「近くに江を想う滋賀」

・京都府「そうだ京都、行こう」

・大阪府「水の都大阪」

・兵庫県「あいたい兵庫」

・奈良県「知れば知るほど奈良はおもしろい」

・和歌山県「わっ！が山ほど和歌山県」

・鳥取県「観どころ湯どころ食べどころ　鳥取県なごみの国」

・島根県「ゆったり清らかなしまね」

・岡山県「晴れの国おかやま」

・広島県「ええじゃん広島県」

・山口県「はじめてなのになつかしい　おいでませ山口へ」

・徳島県「きて・みて・なっとく！おいでよ徳島」

・香川県「かがやくけん、かがわけん」

・愛媛県「愛のくに　愛顔(えがお)あふれる愛媛県」

・高知県「あったか高知」

・福岡県「産業観光ふくおか　モノづくりモノがたり」

・佐賀県「佐賀を探そう」

・長崎県「きてみんね！長崎　食ＫＩＮG王国」

・熊本県「どこさ、ひごさ、くまもとさ」

・大分県「癒(ゆ)たかやなあ　大分県」

・宮崎県「きっと、元気。ほっと、みやざき」

・鹿児島県「本物。鹿児島県」

・沖縄県「ハイサイ！元気　沖縄県」

さてどの街に行ってみたくなりましたか？

　新幹線開通効果をキャッチコピーにすれば、「大阪より5分早く着く盛岡」とか「京都よりほぼ同じ時間に着く金沢」などは、観光客には距離の近さをアピールできます。石川県の能登半島は、私が好きな「土までもやさしい、能登」というキャッチコピーで北陸新幹線での観光客を呼び込もうとしています。では福井県は？「あまりにもなにもない　だから面白い」（ 福井県一乗谷、観光プロジェクト）、「行くのにとっても不自由な街、福井」。街づくりと新幹線誘致に遅れたことを逆手にとった、自虐的なキャッチコピー。意外に、感性鋭い観光客に受けるかも知れません。ネットでの口コミが大きな影響を持ってきた今、しかしまだまだ従来のメディアによるPR効果は大きい。キャッチコピーによるインパクトのあるイメージ作りは観光客の誘客の重要な戦略です。その街に来た観光客をがっかりさせない、コンテンツを持つことは当然ですが・・・。