中小企業IT経営力大賞を目指そう!

IT経営とは? IT経営力とは? 経済産業省が2007年に創設した「中小企業IT経営力大賞」によって、IT経営、IT経営力という言葉も市民権を得つようになりました。経済産業省が主宰するIT経営ポータルサイトによれば、IT経営(力)は次のように定義されています。「IT経営力とは、ITを経営戦略的に使いこなし、競争力や生産性の向上を実現し、経営力アップすることをいいます」。またIT経営は、ITを経営に活かして、売上向上、原価低減、顧客創造、集客などの経営的効果を出すことです。この「中小企業IT経営力大賞」は、ITを高度に活用して経営に効果を出している中小企業を表彰と認定をする制度で、下記の企業はこれまでに「中小企業IT経営力大賞」を受賞した北陸の企業です。

<2008年度>

・株式会社会宝産業(金沢市)

<2009年度>

・株式会社タガミ・イーエックス(能美市)

<2010年度>

・株式会社東振晋精機(能美市)

・株式会社玉家建設(石川県金沢市)

<2012年度>

・株式会社小林製作所(白山市)

・有限会社吉花(加賀市)

・株式会社ミズノマシナリー(富山市)

<2013年度>

・福井県和紙工業協同組合(福井県越前市)


 もう少し具体的に、IT経営を考えてみましょう。今や企業においては、多くの部署で自分の仕事を効率よくこなすために、ITを利活用しています。例えば営業部では、営業部員はお客様に見積書を作成したり、営業後、営業日報を書きます。見積書や営業日報を手書きしているとしたら、これは大変に手間のかかることです。これを見積書を簡単に作成できるシステムや、日報を簡単に書くことができるITを活用し手間を少なくできれば、これはこれで立派なIT活用なのです。しかし、営業部員が考えているのは、あくまで自分の仕事の範囲でのIT活用です。この状態はIT経営と言えるのでしょうか。YesともNoとも言えます。営業の仕事にITを活用していることが、製造部との連携に役立ち、納期短縮という会社の経営課題解決に繋がっていたり、顧客との関係強化という経営課題解決に繋げっていれば、これは立派なITを活用したIT経営です。しかし、単なる社員の業務効率の範囲にとどまったIT活用であれば、IT経営としてITを活用しているとは言えません。ようは、経営者のリーダーシップのもと、経営者が会社を鳥瞰し、自社の問題・課題を解決するためにITを活用することを推進し、社員が業務にIT利活用すること。これがIT経営の本質です。社員が経営課題解決とは関係なく、勝手に自分の都合でITを活用している状態はIT経営とは言いません。


 では経営者のリーダーシップのもと、経営者が会社を鳥瞰し、自社の問題・課題を解決するためにIT活用を行っているIT経営企業は、「中小企業IT経営力大賞」の受賞大賞企業となるのでしょうか。「ITを高度に活用して経営に効果を出している中小企業を表彰と認定をする」制度という趣旨からすると、もう少し、下記のような経営戦略・経営革新の実現のために、ITを高度に活用する経営スタイルが求められます。

・業務プロセスの再構築にITを活用した顧客満足や生産性の向上

・取引・顧客情報などを利用した

 営業・マーケティングの改革、新製品や新サービスの開発

・ネットワークインフラ整備による

 社内、遠隔地、モバイル環境でのコミュニケーションの充実

・ノウハウの蓄積や共有による人材の強化

・ビジネスの付加価値の向上

・業務プロセス全体の可視化によるマネジメントの高度化

・ITの活用による新たなビジネスモデルの構築

・その他、ITの活用による企業競争力強化など

 

 「中小企業IT経営力大賞」を受賞するメリットは何でしょうか?企業の活用しだいで無限大と言えます。「中小企業IT経営力大賞」のロゴマークを使用して企業のブランド化を図ったり、信頼性をアップしたり、企業名の露出度アップによって宣伝効果が大きくなるなど、いろいろ考えられます。受賞を機会に自ら企業情報を発信すれば、効果はさらに倍増し、ビジネス機会が間違いなく増加します。冒頭紹介した北陸の受賞企業の内2社(会宝産業、西村金属)は私が応募を支援して受賞した企業です。そのうち1社(会宝産業)は、いまでも企業のITアドバイザーとして関わっています。2008年度の受賞以来、会宝産業さんは大きく変革しました。受賞を機に、いろいろな場所でいろいろな方に企業を紹介する機会が増え、人的ネットワークが拡大し、多くの企業支援者やサポーターが増えてきました。これらの方々は企業にとっては大きな財産です。今年も7月末には経済産業省は公募を開始します。隠れたIT経営実践企業を発掘し、第二、第三の会宝産業さんを作りたいと考えているところです。