キーワードはブレイクダウン

「一人一人が自分の仕事をきちんとこなすこと。この個人プレーの連携が、真のチームプレーなのだ」。日本経済新聞の土曜版(NIKKEIプラス1)、「仕事にやる気が湧いてくる言葉」の5位にランクされていました。ラグビーのスーパースターだった松尾雄治氏の言葉です。ラグビーの黄金時代、これは間違いなく新日鐵釜石が日本選手権を連覇(7連覇)し続けた時代でしょう。そのときのスーパースターが松尾雄治氏だったのです。今もこの時期になると私の血が騒ぐのは、このときの感動からです。


 成人式の日(昔は1月15日)はラグビー日本選手権決勝の日でした。快晴で満員の国立競技場のグランド。これから始まる新日鐵釜石の日本選手権連覇を見るために、快晴でも肌を指す冷たい風にコートの襟を立て、バックスタンドに座っている私がいました。ラグビーの素晴らしさに魅了され、感動を共有したくて、テレビの前から国立競技場にまで足を運ばせたラグビー。私も含め多くの人々は、ラグビーの持つ独特の精神「一人は15人のために、15人は一人のために」に感動し、ラグビーにとりつかれていきました。


 今日は、大学選手権の決勝です。4連覇がかかる帝京大学と国立大学初の優勝を目指す筑波大学とが対決します。キックオフまで1時間。13:00からは、テレビの目にに釘付けにされます。準決勝での両校の試合振りを見る限りでは、決勝戦は好ゲームが期待できます。下馬評ではフォワードとバックスの双方に強さを発揮できる帝京大の優位が言われていますが、球際の離合集散が素早い筑波大学に頑張ってもらいたい気持ちです。どれだけ、一人一人が自分の仕事をきちんとこなし、個人プレーの連携でチームプレーに徹することができるか、勝敗の分かれ目になると思っています。


 ラグビーの用語の一つに、ブレイクダウンというのがあります。ブレイクダウンとは、日本語で言うと接点。ボールを持った選手がタックルを受けた後、両チームともに複数の選手が参加してボールを奪い合うことです。このブレイクダウンに強いかどうかが勝敗を決するほど、重要なプレーです。最近のラグビーはフィットネスの強さが強調されています。フイットネスの強さはブレイクダウンを制する大きな要因の一つだからです。試合の結果は、帝京大学の4連覇でした。ブレークダウンの場面での2番目の選手のサポートが見事でした。フイットネスを強くして一人一人が自分の仕事をきちんとこなし、個人プレーも連携できていた、ということです。球際に強くなり、ボールを支配する。仕事際に強くなり、多くの仕事をこなす。ラグビーも仕事も、キーワードはブレークダウン。