今どきの若者が敬遠するグルーバル人材、社会に問題が・・・

 国政に進出を決意して都知事を辞任する石原都知事。記者会見では、官僚の「継続性と一貫性」を痛烈に批判し、変化の激しいこの時代に官僚の意のままにされていると、日本は世界から取り残される。老骨に鞭打って、お国のために最後のご奉公をする、と述べていました。

 時代の変化、経営環境の変化に対応して、変えるべきもの、変えたものは何ですか。事業内容や商品・サービス。変えてはいけないもの、変えなかったものは何ですか。屋号や家訓、経営理念。これは『老舗学』(前川洋一郎著)に書かれていることですが、100年以上続く企業、いわゆる老舗企業へのアンケート結果です。30年以上存続する企業の確立は0.02%程度とされる中、100年以上続くのはいかに難しいことで、大きな努力が必要だということです。アンケート結果は、老舗企業存続の秘訣を表しているとも言えます。ちなみに、企業生存率は、5年=15%、10年=6.3%、20年=0.3%、30年=0.02%。


 せかしゅう(世界就)という言葉を知っていますか。私は知りませんでした。世界を対象に就職活動をすること、だそうです。先日NHKで”せかしゅう”する若者を特集していました。最近の若者は、少し変わってきたのかな、と思わせる番組でもありました。「海外に単独である会社や、完全な現地の会社ならまだしも、日本の支社的な会社で、本社から正規社員が来て一緒に働いて、同じ仕事をして待遇がまるで違ったら、バカバカしくてやってられないと思いますよ」。「現地採用と言う事は、現地の給与体系に近い訳で、日本人だけど安月給、途中で気づいて日本で職探ししても見つからないと言うのが見えてますね。現地採用で、その経験を活かして現地で独立するとかの計画がなかったら意味ないと思います」。”せかしゅう”に対し、冷めたネガティブな意見もネット上にはあります。

 グルーバルにビジネスをできる人材は、これからの日本の経済発展には必須の人材です。しかし、グルーバルな人材育成の現状は? とかく日本は、特に若者が内向き思考で海外へ出たがらなくなっているという現状を耳にします。海外へ出るよりも国内で安穏としていたほうがいい。海外へ出ると就職活動に遅れをとる。グルーバルな人材育成どころの話ではないようです。一方、世界69か国へ中古自動車を海外販売している石川県のK産業。若い社員が、日本とは生活環境に雲泥の差がある、新興国アフリカのナイジェリアやケニアに海外赴任しています。株式会社ナガオカ。本社は大阪府泉大津市にある社員数130人の中小企業。水、環境、エネルギーの分野で高い技術力を持ち、ビジネスで国際貢献している会社です。ここの社員は、入社したばかりの新入社員も成長著しい中国やインドなどのアジアはもちろん、ポーランド、ベラルーシなどの多くの国に派遣され、スーパーバイザー、秘術者として約1ヶ月~3ヶ月間、仕事をしています。仕事で世界中を飛び回っているのです。 


 このような現象、状況がTVで取り上げられることは、いかにグルーバルな人材が不足しているか、グルーバルな人材の育成が進んいないか、の表れでしょう。「グルーバルな人材、外向きの若者はいるが知らないだけ」と言う人もいます。「企業も社会も、海外で経験した人材を活用する環境も整備していない。適正に評価し、待遇していない。企業や社会の努力も必要だ」と若者は反発します。私はそれでも、日本の若者の内向きな意識を感じます。石原知事は声高に叫んでいます。日本の閉塞感を打ち破り、世界の変化に対応できる日本を作ると。これからの日本は、企業や社会のせいにしない、慣習に囚われない、外向きで自立した若者に期待がかかっています。K産業やナガオカの若い社員、このような若者が多くなることを願わざるをえません。